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時計は10年、
タイムレコーダーは5年
時計の判定表 ― 金額の線は他の備品と同じ。違うのは、見た目の近い機器が別表第一の別の項に分かれることと、贈るための時計は備品ではないことです。
事務所の掛け時計・置き時計は1台ごとに判定し、10万円未満なら全額費用、20万円未満なら一括償却資産(3年均等)、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。3月31日以前は30万円未満)なら中小企業者等は少額特例で全額損金にでき、それ以上は通常償却です。通常償却の耐用年数は、時計が10年(別表第一「3 時計、試験機器及び測定機器」)。出退勤を打刻するタイムレコーダーは「2 事務機器及び通信機器」の「複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの」で5年です。取引先に贈る時計は自社の備品ではなく、贈答として交際費等に当たるかの論点になります。
金額で決まること
金額の線の引き方は事務机やパソコンと同じです。違うのは、通常償却になったときの耐用年数が、時計は10年、タイムレコーダーは5年と、見た目の近い機器で倍違うことです。制度の説明は10万・20万・40万の判定表に任せ、ここではこの品目で起きることだけを並べます。
| 取得価額(1台あたり) | この品目で起きること | 初年度に落ちる額 | 償却資産税 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 事務所の掛け時計・置き時計や、タイムレコーダーが入りうる帯。損金経理すれば消耗品費などで全額費用(全ての企業)。この帯なら10年か5年かを決める必要はない | 全額 | 対象外 損金経理した場合 |
| 10万円以上 20万円未満 |
大型の時計や多機能のタイムレコーダーが入りうる帯。一括償却資産(3年均等・全ての企業)と、中小企業者等なら少額特例のどちらか。どちらが得かは、各年の損金の出方・償却資産税・除却の扱いで変わる | 1/3 または 全額 | 一括償却なら対象外 少額特例なら対象 |
| 20万円以上 40万円未満 |
装飾性の高い大型の時計などが入りうる帯。中小企業者等は少額特例で全額損金(30万円以上は令和8年4月1日以後の取得に限る。年300万円まで)。それ以外の法人は通常償却 | 全額 または 耐用年数に応じて | 対象 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却。時計なら10年、タイムレコーダーなら5年 | 耐用年数に応じて | 対象 |
※ 取得価額は、購入の代価に購入のために要した費用と、事業の用に供するために直接要した費用を加えた額です(法人税法施行令第54条)。判定は台ごと(通常1単位として取引される単位ごと)に行います(法人税基本通達7-1-11)。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、10万円未満の全額費用・一括償却資産・少額特例のいずれからも除かれます。
※ 少額特例が使えるのは青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用する従業員400人以下。令和8年3月31日以前に取得した資産は500人以下で判定)のみです。通算法人・適用除外事業者は使えず、経営強化税制E類型の計画に記載された資産も対象外。損金経理と適用額明細書の添付が要件で、年300万円まで・令和11年3月31日までの制度です。条件は10万・20万・40万の判定表にまとめてあります。
※ No.5403 と通達7-1-11 の判定単位の記述は、文言上は10万円未満・20万円未満の判定について書かれたものです。少額特例(40万円未満)も1単位ごとに判定するのが一般的な扱いですが、措置法側の一次情報は当サイトでは確認できていません。
耐用年数 ― 時計は10年、タイムレコーダーは事務機器の5年
通常償却や償却資産の申告で引くのは、耐用年数省令の別表第一「器具及び備品」です。時計は「3 時計、試験機器及び測定機器」の時計の行で、出退勤を記録するタイムレコーダーは「2 事務機器及び通信機器」の行に名前が挙がっています。
| 品目 | 別表第一の区分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 掛け時計・置き時計・電波時計 | 時計(「3 時計、試験機器及び測定機器」) | 10年 |
| タイムレコーダー | 複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの(「2 事務機器及び通信機器」) | 5年 |
| 顔認証・ICカード式の勤怠打刻端末 | 名指しなし。候補は、タイムレコーダーの行(「その他これらに類するもの」と読む場合)と、オンラインシステムの端末機器に当たるなら「その他の事務機器」(耐用年数通達2-7-7)。汎用のタブレットをそのまま使うならタブレットの判定表の候補 | 断定できない 前の2つならどちらも5年 |
| 取引先に贈る時計 | 自社の備品ではない。贈答として交際費等に当たるかの論点(租税特別措置法第61条の4第6項) | ― |
表に無い品目は、構造・用途・使用状況が類似する品目の年数を、別に定めるものを除き、税務署長(調査課所管法人にあっては国税局長)の確認を受けて適用できるという枠組みがあります(耐用年数通達1-1-9)。勤怠打刻の端末を少額特例か通常償却で扱うなら、どの行で置くかを顧問税理士に確認してから固定してください。他の備品の年数は器具備品の耐用年数表にまとめています。
贈るための時計は、自社の備品ではない
開店祝いや周年記念で取引先に時計を贈る場合、その時計は自社で使う資産ではないので、この判定表(備品の金額の線と耐用年数)には乗りません。
租税特別措置法第61条の4第6項は、交際費等を、法人が得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(同項各号に掲げる費用を除く。)と定めています。取引先への贈答は、この交際費等に当たるかどうかの論点です。飲食の線引きは会議費・交際費の判定表で扱っています。
判定単位と償却資産税
判定単位は1台ごとです。取得価額の判定は「通常1単位として取引されるその単位ごと」に行い、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに見ます(国税庁タックスアンサーNo.5403・法人税基本通達7-1-11)。フロアごとに掛け時計を何台か同時に買っても、1台ずつ機能するので1台ずつです。
償却資産税は、土地・家屋以外の事業に使う有形の減価償却資産が対象です。少額特例で全額損金にしたものと通常償却しているものは、毎年1月1日現在の資産として1月31日までに申告する対象で、申告には耐用年数も書きます(地方税法第383条)。一方、10万円未満で損金経理したものと一括償却資産は対象外です(地方税法第341条第4号・同法施行令第49条)。
ここで間違える
タイムレコーダーを「時計だから10年」にしない
別表第一でタイムレコーダーは、時計の行ではなく「2 事務機器及び通信機器」の「複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの」に名前があり、5年です。時刻を表示する機器でも、時計の10年の行ではありません。
取引先に贈る時計を、備品として資産計上しない
贈るための時計は自社で使う資産ではありません。得意先・仕入先など事業に関係のある者への贈答は、交際費等に当たるかの論点です(租税特別措置法第61条の4第6項)。社名を入れて配る記念品の扱いも含め、処理は顧問税理士に確認してください。
タイムレコーダー本体と、タイムカードは別の処理
タイムレコーダー本体は器具備品ですが、打刻に使うタイムカードは使うたびに減っていく消耗品です。本体の金額の線とは別に処理します。まとめ買いしたときの期末の扱いは消耗品と貯蔵品の判定表で扱っています。
金額の帯ごとに探す
同じ「時間を扱う機器」でも、時計とタイムレコーダーで耐用年数の行が違います。 価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してから判定してください。
- オフィスの掛け時計(10万円未満に絞り込み) 別表第一の時計(10年)の行。10万円未満で損金経理すれば全額費用で、年数を決める必要もない
- タイムレコーダー(10万円未満に絞り込み) 別表第一の事務機器の行(5年)。10万円未満で損金経理すれば全額費用
- タイムカード 本体とは別の消耗品。まとめ買いしたときは期末に残った分の扱いに注意
判定は台ごと、償却資産の申告は資産ごとです。Amazonビジネス(登録無料)にすると 購買履歴が会社名義で一元化され、見積書の発行や請求書払いも使えます。時計やタイムレコーダーは少額でも拠点ごとに増えていくので、どこに何を置いたかも残しておくと、資産計上したものの申告で所在を書くときに困りません。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元・出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索) ― 別表第一 器具及び備品「3 時計、試験機器及び測定機器」の 時計=10年/「2 事務機器及び通信機器」の 複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの=5年
- 租税特別措置法 第61条の4第6項(e-Gov法令検索) ― 交際費等とは、得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(同項各号に掲げる費用を除く。)
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-7-7(国税庁) ― いわゆるオンラインシステムにおける端末機器又は電子計算機に附属するせん孔機等は、「2 事務機器及び通信機器」の「その他の事務機器」に該当する
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-1-9(国税庁) ― 細目が特掲されていない器具備品は、構造・用途・使用状況が類似する特掲品目の年数を、別に定めるものを除き、税務署長(調査課所管法人にあっては国税局長)の確認を受けて適用できる
- 法人税基本通達 7-1-11(国税庁) ― 取得価額は通常1単位として取引される単位ごと、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに判定
- 法人税法施行令 第54条(e-Gov法令検索) ― 購入した減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・購入手数料その他購入のために要した費用を加算)と、事業の用に供するために直接要した費用の合計
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 10万円未満の少額の減価償却資産(損金経理)、20万円未満の一括償却資産(3年)、貸付用資産の除外
- 租税特別措置法 第67条の5(e-Gov法令検索) ― 少額減価償却資産の特例。40万円未満、年300万円、損金経理要件、令和11年3月31日まで
- 令和8年度税制改正の大綱 三(財務省) ― 取得価額40万円未満への引き上げと中小企業者等の範囲(従業員400人以下)
- 租税特別措置法施行令 第39条の28・令和8年政令第98号附則第20条(e-Gov法令検索) ― 中小企業者等は常時使用する従業員400人以下(改正前は500人以下)。令和8年4月1日前に取得した少額減価償却資産は、なお従前の例(500人以下)による
- 地方税法(e-Gov法令検索) ― 第341条第4号(償却資産の定義)、第383条(毎年1月1日現在の資産を1月31日までに申告)
- 地方税法施行令(e-Gov法令検索) ― 第49条(損金経理した10万円未満の資産と一括償却資産を償却資産から除外)
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の資産について税務上の判断を示すものではありません。 勤怠打刻の端末の耐用年数と、取引先に贈る時計が交際費等に当たるかは、状況によって結論が変わります。「令和8年4月1日以後に取得したものから40万円未満」という区分は、令和8年3月31日法律第12号の附則第1条(令和8年4月1日から施行)と附則第65条(施行日以後に取得した少額減価償却資産に新法を適用し、施行日前の取得は従前の例による)で確認しました。3月末をまたぐ取得は特に注意してください。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- シュレッダー・ラミネーターは1台ごとに10万円の線を見る ― 別表第一に名前が無い事務機器の耐用年数と判定単位業務用シュレッダーやラミネーターは1台の取得価額で判定し、10万円未満なら損金経理で全ての企業が買った期に全額損金にできます。通常償却になったときの耐用年数は、別表第一に品目名が無く、当てはめ候補は5年と10年に分かれます。判定単位・償却資産税・つまずきどころを1枚に。
- 1万円基準が効かない飲食 ― 交際費・会議費・社内飲食費の判定表令和6年4月から1人5,000円→1万円へ。ただし上がったのは交際費側の基準だけで、会議費にはもともと金額の上限がなく、社内だけの飲食には1万円基準が使えません。
- まとめ買いした文具は期末に資産へ戻るのか ― 消耗品費と貯蔵品の判定表期末の未使用分は原則として貯蔵品です。ただし毎年おおむね一定数量を取得して経常的に消費するものは、継続適用を条件に買った期の損金にできます。