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1万円基準が効かない飲食
交際費・会議費・社内飲食費の判定表 ― 上限が上がったのは3つのうち1つだけです。
令和6年4月1日以後に支出する飲食費から、社外の者を含む接待飲食は1人1万円以下(改正前は5,000円以下)なら、所定の事項を記載した書類の保存を条件に交際費等から除外できます。会議に関連する茶菓・弁当などは会議費でそもそも交際費等に当たらず金額の上限はなく、役員・従業員とその親族だけの社内飲食には1万円基準が使えません。
交際費等から除外できる飲食費の基準は 1人5,000円以下 → 1人1万円以下 に。
令和6年4月1日以後に支出する飲食費から適用されています(18年ぶりの見直し)。
ただし上がったのは交際費側の基準だけです。
会議費にはもともと金額の上限がなく、逆に社内だけの飲食には1万円基準が使えません。
「1万円までなら大丈夫」で処理すると、この2つで外します。
判定表
| 場面 | 参加者 | 扱い | 1人あたりの上限 |
|---|---|---|---|
| 会議・商談中の 茶菓、弁当など |
社内・社外を問わない 来客との商談・打合せを含む |
会議費 そもそも交際費等に当たらない |
金額基準はなし ただし通常供与される昼食の程度を 超えない範囲であること |
| 取引先との 接待飲食 |
社外の者を含む | 1人1万円以下なら 交際費等から除外 |
1万円 令和6年4月1日以後 |
| 同上で 1人1万円を超えた |
社外の者を含む | 交際費等 下の枠の中で損金算入 |
― |
| 社内だけの 懇親会・飲み会 |
社内の者のみ 役員・従業員とその親族 |
1万円基準は使えない ただし専ら従業員の慰安のための行事や おおむね一律の社内飲食は 福利厚生費として交際費等から除かれる |
1万円基準は 使えない |
※ 判定に使う金額は、その飲食費の支出に適用される消費税の経理方式に従います(税抜経理なら税抜、税込経理なら税込。売上を税込経理している会社と免税事業者は税込。消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 3・5・9)。ただし、登録番号のない飲食店での飲食など適格請求書の無い支払いは、税抜経理でも、控除できない消費税の分(経過措置の割合で控除できない残り)を原則として飲食費に含めた金額で1人あたりの金額を判定します(同通達12。令和11年9月30日までの仕入れは経過的取扱い(2)〔令和3年課法2-6で追加〕。令和8年度改正で延びた令和11年10月〜令和13年9月の仕入れについて、通達が改められたことは確認できていません。経過措置の終了後(令和13年10月以後)は14の2。令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問7〔参考〕も同じ考え方です)。
交際費等になったあとの枠(中小企業)
交際費等に当たっても、資本金1億円以下の中小企業は次のどちらかを選べます。 ただし資本金5億円以上の法人の100%子法人等や一定の通算法人は、この枠を使えません。
| 選択肢 | 内容 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 定額控除 | 年800万円まで全額を損金算入 事業年度が1年未満なら月数按分 | 交際費が年800万円以下に収まる会社。ほとんどの中小企業はこちら |
| 50%損金 | 接待飲食費の50%を損金算入 | 接待飲食費が年1,600万円を超える会社 |
ここで間違える
社内だけの飲食に「1人1万円まで」は使えない
1万円基準の対象になるのは、社外の者を含む飲食です。 役員・従業員とその親族だけで行う飲食(社内飲食費)は、1人あたりいくらであってもこの除外規定を使えません。 ただし「1万円基準が使えない」ことと「交際費等になる」ことは別の話です。 専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行等のために通常要する費用や、 創立記念日等に従業員におおむね一律に社内で供与される通常の飲食に要する費用は、 福利厚生費として交際費等から除かれます。全社の忘年会をすべて交際費等に振り替える必要はありません。
会議費には金額の上限がない
会議に関連して茶菓・弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用は、 そもそも交際費等に当たりません。措置法通達では、1人あたりの費用が1万円を超える場合であっても この取扱いの適用があることに留意する、と明示されています。 上限があるのは交際費側であって、会議費側ではありません。 ただし「会議の実態があること」「通常供与される昼食の程度を超えないこと」が前提です。
1万円以下でも、書類を残していないと除外できない
1万円基準で交際費等から除外するには、所定の事項を記載した書類の保存が要件です。 ①飲食等のあった年月日 ②参加した得意先等の氏名または名称とその関係 ③参加した人数 ④金額と飲食店等の名称・所在地 ⑤その他参考となる事項。 領収書だけでは足りません。誰と行ったかを書いていないのが、実務で最も多い漏れです。
1次会と2次会は、別々に判定できることがある
連続した飲食であっても、それぞれの行為が単独で行われていると認められるときは、 飲食費ごとに1人あたりの金額を判定できる、という実務上の整理があります。 ただしこの点を直接示す国税庁の公表資料を当サイトでは確認できていません(近い記述は措置法通達61の4(1)-16の注記ですが、 そちらは旅行・観劇等の行事に伴う飲食についてのものです)。分割して判定する場合は顧問税理士にご確認ください。
会議費で用意するもの
来客との商談・打合せに出す飲料や茶菓は、上の表のとおり会議費です。 金額基準の制限を受けない代わりに、「通常供与される昼食の程度」を超えないことが前提になります。
- 来客用の飲料(ペットボトル・お茶) 会議費。人数分をまとめて置いておくもので、1人あたりの金額判定は問題になりにくい
- 個包装の茶菓 通達が明示する「茶菓、弁当その他これらに類する飲食物」の典型
- オフィス用コーヒーメーカー これは飲食物ではなく備品。10万・20万・40万の判定表のほうで扱います
- コーヒー・茶葉(大容量) 消耗品費または会議費。継続的に買うものなので、処理を先に決めておくと楽
飲料や茶菓のような定期購入は、Amazonビジネス(登録無料)にすると 請求書払い・見積書の発行・購買履歴の一元管理ができます。会議費と消耗品費を後から仕分ける作業が減ります。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元がAmazon.co.jpか、出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 租税特別措置法 第61条の4(e-Gov法令検索) ― 交際費等の損金不算入。飲食費の除外規定と、社内飲食費(役員・従業員またはその親族に対するもの)の除外
- 措置法通達 第61条の4 第1款 交際費等の範囲(国税庁) ― 61の4(1)-21「会議に関連して茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」。 1人あたりの費用が定められた金額を超える場合であっても適用があること、会議には来客との商談・打合せを含むこと
- 国税庁 タックスアンサー No.5265 ― 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(定額控除限度額800万円、接待飲食費の50%)
- 消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて(消費税経理通達) 1の2・3・5・9・12・14の2・経過的取扱い(国税庁) ― 税抜経理でも、交際費等に係る仮払消費税等の額のうち控除対象外消費税額等に相当する金額は交際費等の額に含まれ、飲食費に係るものは飲食費の額に含まれる(12・注2・注3)。控除される消費税額がない課税仕入れは、区分した消費税等の額を取引の対価の額に含める(14の2)。令和5年10月からの経過措置の期間中は、控除できる割合の分だけを仮払消費税等とする(令和3年課法2-6で追加された経過的取扱い(2)。その注で14の2は除かれる)。売上げ等の収益に係る取引を税込経理する法人は、経費等も税込経理方式を適用する(3)。消費税の納税義務が免除される法人は、税抜経理をしていても税込経理方式による(5)。交際費等の範囲から除かれる飲食費の金額基準(措置法61条の4第6項第2号)も、その取引に適用することとなる経理方式で算定した価額で判定する(9の後段)。簡易課税制度が適用される法人が税抜経理をしている場合は、継続適用を条件に、課税仕入れの支払対価の110分の10(軽減税率の対象は108分の8)を区分して経理した金額を仮払消費税等の額とすることができる(1の2)
- 令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問7(国税庁) ― 〔参考〕免税事業者に支払った飲食費の金額基準の判定は、仮払消費税等の額として経理した金額を飲食のために要した費用の額に算入した後の金額で行う(Q&A作成時の基準は5千円。消費税経理通達12)。設例は経過措置の終了後(作成時の制度では令和11年10月以後)の支出を前提にしており、令和8年度改正で経過措置が延びたため、設例の時期はいまは経過措置の期間中にあたる
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の支出について税務上の判断を示すものではありません。 会議の実態があるか、飲食物が「通常供与される昼食の程度」に収まるか、社内飲食費に当たるかは、 状況によって結論が変わります。実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- 昼食を出しても給与にならない条件 ― 月7,500円と半額負担の判定表食事の現物支給の非課税限度額が令和8年4月1日以後の支給分から月3,500円→7,500円へ。条件は2つあり、片方でも外すと全額が給与になります。
- オフィスの冷蔵庫は6年、電子レンジは表に名前がない ― 給湯室の家電の判定表電気冷蔵庫の耐用年数は別表第一で6年。電子レンジとウォーターサーバーは表に直接の記載がなく、当てはめで決めます。10万・20万・40万の金額の線、判定単位、償却資産税、レンタルなら費用になる点まで1枚に。
- 応接セットは「1組」で判定する ― 応接セット・会議テーブルの判定単位と耐用年数(5年/8年/15年)応接セットはテーブルと椅子の1組で取得価額を判定します(国税庁の例示)。耐用年数は接客業用が5年、「その他のもの」が8年で、事務所の応接室用は「その他のもの」と読めます。会議テーブルは耐用年数表に直接の記載がなく、主として金属製かどうかで15年と8年に分かれる区分に当てはめます。10万・20万・40万の帯でこの品目に何が起きるかを1枚にしました。
- 時計は10年、タイムレコーダーは5年 ― 掛け時計・置き時計・タイムレコーダーの判定表と、贈答用の時計の扱い時計の耐用年数は、別表第一「3 時計、試験機器及び測定機器」で10年。出退勤を打刻するタイムレコーダーは時計の行ではなく「2 事務機器及び通信機器」の5年です。10万円未満なら損金経理で全額費用になり、年数を決める必要はありません。取引先に贈る時計は自社の備品ではなく、交際費等に当たるかの論点。10万・20万・40万の金額の線、判定単位、償却資産税まで1枚に。