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シュレッダー・ラミネーターは、
1台ごとに10万円の線を見る
別表第一に品目名が無く、当てはめ候補は5年と10年に分かれます ― 事務機器は1台で機能するので、まとめ買いしても判定は1台ずつです。
業務用シュレッダーやラミネーターは1台(1個)ごとに取得価額を判定し、10万円未満なら損金経理することで全ての企業が買った期に全額損金にできます。10万円以上は20万円未満なら一括償却資産(3年均等)、令和8年4月1日以後に取得した40万円未満なら中小企業者等だけが少額特例を使えます。通常償却になったときの耐用年数は、別表第一に品目名が無いため構造・用途による当てはめになり、候補は5年と10年に分かれます。最終判断は顧問税理士へ。
1台の金額で、起きることが4段に分かれる
シュレッダー・ラミネーター・製本機・タイムレコーダーといった事務機器は、パソコンや複合機と違って 1台の取得価額が10万円の線をまたぎやすいのが特徴です。線をまたいだときに何が変わるかを先に押さえておくと、 発注の段階で処理が決まります。制度そのものの説明は 10万・20万・40万の判定表に任せ、ここでは事務機器で起きることだけを並べます。
| 1台の取得価額 | 使える処理 | 初年度に落ちる額 | 償却資産税の課税対象 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費などで全額を費用処理(全ての企業)/一括償却資産/通常償却 全額を費用処理できるのは、買った期に損金経理した場合 |
全額 | 対象外 損金経理した場合 |
| 10万円以上 20万円未満 |
一括償却資産(全ての企業)/少額特例(中小企業者等のみ) | 一括償却なら1/3、少額特例なら全額 | 一括償却は対象外、少額特例は対象 |
| 20万円以上 40万円未満 |
少額特例(中小企業者等のみ・令和8年4月1日以後の取得)/それ以外は通常償却 | 少額特例なら全額(年300万円まで) | 対象 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却のみ | 耐用年数に応じて | 対象 |
※ 10万円・20万円の線は、その資産の購入に適用される消費税の経理方式に従って判定します(税抜経理なら税抜、税込経理なら税込。売上を税込経理している会社と免税事業者は税込)。40万円の線(少額特例)も同じ扱いと解されます。登録番号のない出品者から買った場合など適格請求書の無い仕入れは、税抜経理でも、控除できない消費税の分(経過措置の割合で控除できない残り)が原則として取得価額に入ります(国税庁 No.5403 判定の例示・消費税経理通達・令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問3)。境界付近は顧問税理士に確認してください。
※ 少額特例の上限40万円未満は令和8年4月1日以後に取得した資産から(3月31日以前の取得は30万円未満)。この取得時期の区分は、令和8年3月31日法律第12号の附則第1条(令和8年4月1日から施行)と附則第65条(施行日以後に取得した少額減価償却資産に新法を適用し、施行日前の取得は従前の例による)で確認しました。詳しくは判定表の注記を参照してください。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、10万円未満・一括償却資産・少額特例のいずれからも除かれます。
※ 少額特例は通算法人と、適用除外事業者に当たる中小企業者は使えず、経営強化税制のE類型(経営規模拡大設備の類型)の資産を記載した経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等も、計画にE類型の資産が記載されている間は使えません(記載を外せる場合とその条件は経営強化税制の判定表のE類型の項)。少額特例は、損金経理と、取得価額に関する明細書・適用額明細書の添付が要件です。また取得価額10万円未満のものは少額特例の対象から除かれています。詳しくは10万・20万・40万の判定表へ。
耐用年数:別表第一に「シュレッダー」の名前は無い
10万円以上で資産計上し、通常償却になったときに必要なのが耐用年数です。事務機器は別表第一「器具及び備品」の 「2 事務機器及び通信機器」の項で引きますが、シュレッダー・ラミネーター・製本機・電子黒板といった品目名はこの表にありません。 項の中身は次のとおりです。
| 構造又は用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 謄写機器及びタイプライター | 孔版印刷又は印書業用のもの | 3年 |
| 謄写機器及びタイプライター | その他のもの | 5年 |
| 電子計算機 | パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。) | 4年 |
| 電子計算機 | その他のもの | 5年 |
| 複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの | ― | 5年 |
| その他の事務機器 | ― | 5年 |
| テレタイプライター及びファクシミリ | ― | 5年 |
| インターホーン及び放送用設備 | ― | 6年 |
| 電話設備その他の通信機器 | デジタル構内交換設備及びデジタルボタン電話設備 | 6年 |
| 電話設備その他の通信機器 | その他のもの | 10年 |
名前が無いものは、構造と用途で当てはめます。シュレッダー・ラミネーター等の当てはめ候補は3つです。
| 候補 | 別表第一の区分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| ① | 「2 事務機器及び通信機器」のその他の事務機器 | 5年 |
| ② | 「2 事務機器及び通信機器」の複写機、計算機、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの | 5年 |
| ③ | 「11 前掲のもの以外のもの」のその他のもの | 主として金属製 10年 その他 5年 |
通達が「その他の事務機器」に含まれると明記しているのは、オンラインシステムの端末機器や電子計算機に附属するせん孔機等、 それに建物附属設備に当たらない簡易な書類搬送機器で、シュレッダー等の名指しはありません。 細目が特掲されていない器具備品については、構造・用途・使用状況が類似する特掲品目の年数を 税務署長の確認を受けて適用できる、という枠組みがあります(耐用年数通達1-1-9)。 タイムレコーダーだけは②の行に名前があり、5年と読めます。 当サイトはどの候補に当たるかを断定しません。他の備品の年数は器具備品の年数表で引けます。
判定単位は1台(=通達でいう「1個」)ごと
取得価額が10万円未満・20万円未満かどうかは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。 法人税基本通達では、工具、器具及び備品は1個、1組又は1そろいごととされています。 応接セットはテーブルと椅子の1組、カーテンは部屋ごとの合計で見るのに対し、 シュレッダーやラミネーターは1台で機能するので、1台ごとの判定です。 通達の語である「1個」に当たるのがこの1台で、「1台又は1基」は機械及び装置についての言い方です。 部署ごとに同じ機種を5台まとめて発注しても、判定は5台分の合計ではなく1台の金額で行います。
裏返すと、まとめ買いで金額を大きくしても線は変わらず、逆に分割発注で線を下げることもできません。 発注書に台数と単価が分かれて書かれていれば、後から見返すときに迷いません。
償却資産税は「どの処理を選んだか」で決まる
事務機器は有形の器具備品なので、償却資産税(固定資産税)の対象になり得ます。線を分けるのは金額ではなく選んだ処理です。
- 10万円未満を損金経理して全額費用処理した資産 … 対象外(地方税法施行令第49条)
- 一括償却資産(20万円未満・3年均等)を選んだ資産 … 対象外(同上)
- 少額特例で全額損金にした資産、通常償却の資産 … 対象
同一の市町村内にある償却資産の課税標準となるべき額の合計が150万円未満なら課税されない免税点があります(令和9年度分からは180万円未満。ただし市町村の条例で例外が定められる場合があります)。 ただし免税点未満でも申告義務はあり、賦課期日は1月1日・申告期限は1月31日です。 20万円未満の帯で一括償却と少額特例のどちらを選ぶかは、一括償却資産と少額特例の分岐にまとめています。
※ 免税点の180万円への引き上げは、令和8年法律第2号による改正後の地方税法351条で確認しています(令和9年4月1日施行。同法の附則により令和9年度分から適用)。
ここで間違える
10万円未満で落とせるのは、買った期に損金経理したときだけ
10万円未満の全額損金は、事業の用に供した事業年度に損金経理した場合に限られます。 いったん器具備品として資産計上したシュレッダーを、翌期になってから一時に費用へ落とすことはできません。 買った期の処理でその後が決まります。
「事務機器だから5年」と決め打ちしない
候補①②は5年で揃いますが、候補③の「前掲のもの以外のもの」は主として金属製なら10年です。 表に名前が無い以上、どの区分に置いたかを購買記録と一緒に残しておかないと、後から説明できなくなります。 5年か10年かで償却資産の申告に載る期間も変わります。最終判断は顧問税理士へ。
本体と消耗品は別の単位
ラミネートフィルム、裁断くず用の袋、メンテナンス用のオイルは、本体と一緒に買っても本体とは別の単位として処理するのが一般的です。 ただし何を本体の取得価額に含めるかは資産ごとに結論が変わるため、顧問税理士にご確認ください。期末に未使用のまま残った消耗品の扱いは 消耗品費と貯蔵品の判定表を参照してください。
1台で判定する事務機器
10万円の線に収まるかどうかは機種によって変わります。価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してから判定してください。
- 業務用シュレッダー(10万円未満) 損金経理すれば全ての企業が買った期に全額損金。償却資産税の対象にもならない帯
- 大容量の業務用シュレッダー(20万円未満) 10万円を超えると一括償却資産か少額特例か。償却資産税の有無で分かれる帯
- 業務用ラミネーター(10万円未満) 本体は1台で判定。フィルムは消耗品として別
- タイムレコーダー(10万円未満) 別表第一に名前がある数少ない事務機器。通常償却になれば5年の行で引ける
1台ごとの判定は、発注記録に台数と単価が分かれていることが前提です。Amazonビジネス(登録無料)にすると 購買履歴が一元化され、見積書を発行でき、請求書払い(招待制・審査あり)の対象にもなりえます。部署ごとにまとめて入れた事務機器が、後から1台いくらだったかを追えます。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元がAmazon.co.jpか、出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(e-Gov法令検索) ― 器具及び備品「2 事務機器及び通信機器」の各行(謄写機器及びタイプライター3年/5年、電子計算機4年/5年、複写機・計算機・金銭登録機・タイムレコーダーその他これらに類するもの5年、その他の事務機器5年、テレタイプライター及びファクシミリ5年、インターホーン及び放送用設備6年、電話設備6年/10年)、「11 前掲のもの以外のもの」の「その他のもの」(主として金属製10年/その他5年)。シュレッダー・ラミネーターの記載が無いこと
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-7-7・2-7-8(国税庁) ― 「その他の事務機器」に含まれるもの(オンラインシステムの端末機器・電子計算機附属のせん孔機等、簡易な書類搬送機器)
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-1-9(国税庁) ― 細目が特掲されていない器具備品は、類似する特掲品目の耐用年数を税務署長の確認を受けて適用できること
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 10万円未満の全額損金(損金経理・事業供用年度に限る、資産計上後は落とせない)、20万円未満の一括償却資産、判定単位(通常1単位として取引される単位・応接セット・カーテンの例示)、貸付用資産の除外
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 判定の例示 ― 10万円未満かどうかは、法人が適用している消費税等の経理処理方式に応じて算定した価額で判定する(税抜経理なら税抜、税込経理なら税込)。免税事業者は税込経理方式しか採れない
- 消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて(消費税経理通達) 3・3の2・5・9・14の2・経過的取扱い(国税庁) ― 売上げ等の収益に係る取引を税込経理する法人は、固定資産等の取得を税抜で経理していても税込経理方式を適用する(3)。消費税の納税義務が免除される法人は、税抜経理をしていても税込経理方式による(5)。少額の減価償却資産・一括償却資産の金額基準は、その取引に適用することとなる経理方式により算定した価額で判定し、措置法に規定する特別償却等の金額基準も同様とする(9)。仮払消費税等の額を超えて区分した金額は取得価額に含める(3の2)。控除される消費税額がない課税仕入れは、税抜経理でも区分した消費税等の額を対価の額に含める(14の2)。令和5年10月からの経過措置の期間中は、控除できる割合の分だけを仮払消費税等とし(令和3年課法2-6で追加された経過的取扱い(2)。その注で14の2は除かれる)、対価と区分して経理をした金額がないときは仮払消費税等の額はないものとできる(その次の経過的取扱い(3))
- 令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問3(国税庁) ― 税抜経理の法人が適格請求書発行事業者以外の者から課税仕入れを行った場合、控除できる割合の分だけを仮払消費税等とし、残額を取得価額とする(設例は令和5年10月〜令和8年9月の80%)
- 法人税基本通達 7-1-11(国税庁) ― 工具、器具及び備品は「1個、1組又は1そろいごと」に判定すること
- 租税特別措置法 第67条の5(e-Gov法令検索) ― 少額減価償却資産の特例。40万円未満(取得価額10万円未満のものは除かれる)、年300万円、損金経理、令和11年3月31日まで
- 令和8年度税制改正の大綱 三(財務省) ― 40万円未満への引き上げ、中小企業者等の範囲(従業員400人以下)
- 令和8年度税制改正の大綱 七(財務省) ― 償却資産の免税点を180万円に引き上げ(令和9年度以後の年度分から)
- 地方税法(e-Gov法令検索) ― 第341条第4号(償却資産の定義)、第351条(免税点150万円。令和8年法律第2号による改正後の同条(令和9年4月1日施行・令和9年度分から適用)は180万円。ただし書により、財政上その他特別の必要がある場合は市町村の条例の定めにより課することができる)、第383条(1月1日現在の資産を1月31日までに申告)
- 地方税法施行令 第49条(e-Gov法令検索) ― 損金経理した10万円未満の資産と一括償却資産が償却資産から除かれること
- 少額減価償却資産の特例(中小企業庁) ― E類型の適用を受ける場合、E類型の投資計画の期間中は少額特例の適用を受けられない
- 中小企業等経営強化法の経営力向上設備等のうち経営規模拡大設備等(E類型)に係る経済産業大臣確認の取得に関する手引き(中小企業庁) ― 認定を受けた経営力向上計画にE類型の設備等が記載されている企業は少額特例を受けられない。給与増加割合の報告書で目標を達成できなかった場合、または税制措置を受けなかった場合は、経営力向上計画の変更申請でE類型に関する記載を全て削除し、その変更の認定を受けた後は活用できる(目標を達成した報告書を出した計画は、E類型の記載を削除する変更申請ができない)
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の資産について税務上の判断を示すものではありません。 シュレッダー・ラミネーター等がどの区分に当たるか、判定単位、取得日と事業供用日、消費税の経理方式、 償却資産税の申告範囲は、会社の状況によって結論が変わります。 実際の処理は顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- 20万円未満で得なのはどっちか ― 一括償却資産と少額特例の分岐3年で見れば損金の総額は同じ。違うのは各年に落ちる額と、償却資産税、途中で捨てたときの扱いです。一括償却資産は除却しても損を計上できず3年続きます。
- まとめ買いした文具は期末に資産へ戻るのか ― 消耗品費と貯蔵品の判定表期末の未使用分は原則として貯蔵品です。ただし毎年おおむね一定数量を取得して経常的に消費するものは、継続適用を条件に買った期の損金にできます。
- 40万円以上になったら次に見るのは耐用年数 ― 器具備品の年数表事務机は金属製なら15年、それ以外は8年。パソコンは4年でサーバー用は5年。品目名ではなく構造と用途で決まります。中古で買った場合の簡便法も。
- 時計は10年、タイムレコーダーは5年 ― 掛け時計・置き時計・タイムレコーダーの判定表と、贈答用の時計の扱い時計の耐用年数は、別表第一「3 時計、試験機器及び測定機器」で10年。出退勤を打刻するタイムレコーダーは時計の行ではなく「2 事務機器及び通信機器」の5年です。10万円未満なら損金経理で全額費用になり、年数を決める必要はありません。取引先に贈る時計は自社の備品ではなく、交際費等に当たるかの論点。10万・20万・40万の金額の線、判定単位、償却資産税まで1枚に。