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事務所のエアコンは
6年・13年・15年のどれか
エアコンの判定表 ― 金額の線は他の備品と同じ。違うのは、器具備品か建物附属設備かで耐用年数が倍以上変わることと、取付工事費を含めて判定することです。
事務所のエアコンは、取付工事費を含めた取得価額で判定し、10万円未満なら全額費用、20万円未満なら一括償却資産(3年均等)、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。3月31日以前は30万円未満)なら中小企業者等は少額特例で全額損金にでき、それ以上は通常償却です。通常償却の耐用年数は、器具及び備品の「冷房用又は暖房用機器」なら6年。ダクトを通じて広範囲を冷房するパッケージ型のように建物附属設備に当たるものは、冷凍機の出力22kW以下で13年、それ以外で15年です。壁掛けのルームエアコンがどちらに当たるかを名指しした一次情報はなく、構造・用途で当てはめます。
金額で決まること
金額の線の引き方は事務机やパソコンと同じです。違うのは、本体価格ではなく取付工事費を足した額で帯を当てはめることです。制度の説明は10万・20万・40万の判定表に任せ、ここではこの品目で起きることだけを並べます。
| 取得価額(1組あたり) | この品目で起きること | 初年度に落ちる額 | 償却資産税 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 窓用エアコンや小部屋向けのルームエアコンが入りうる帯。ただし取付工事費を足して判定する。本体が10万円未満でも、工事費込みで10万円以上になれば下の帯。損金経理すれば全額費用(全ての企業) | 全額 | 対象外 損金経理した場合 |
| 10万円以上 20万円未満 |
工事費込みのルームエアコンが入りやすい帯。一括償却資産(3年均等・全ての企業)と、中小企業者等なら少額特例のどちらか。どちらが得かは、各年の損金の出方・償却資産税・除却の扱いで変わる | 1/3 または 全額 | 一括償却なら対象外 少額特例なら対象 |
| 20万円以上 40万円未満 |
大きい部屋向けのエアコンが入りうる帯。中小企業者等は少額特例で全額損金(30万円以上は令和8年4月1日以後の取得に限る。年300万円まで)。それ以外の法人は通常償却 | 全額 または 耐用年数に応じて | 対象 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却。器具備品なら6年、建物附属設備なら13年または15年で、どちらに当たるかで1年に落ちる額が大きく変わる | 耐用年数に応じて | 対象 |
※ 取得価額は、購入の代価に購入のために要した費用と、事業の用に供するために直接要した費用を加えた額です(法人税法施行令第54条)。判定は組ごと(通常1単位として取引される単位ごと)に行います(法人税基本通達7-1-11)。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、10万円未満の全額費用・一括償却資産・少額特例のいずれからも除かれます。
※ 少額特例が使えるのは青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用する従業員400人以下。令和8年3月31日以前に取得した資産は500人以下で判定)のみです。通算法人・適用除外事業者は使えず、経営強化税制E類型の計画に記載された資産も対象外。損金経理と適用額明細書の添付が要件で、年300万円まで・令和11年3月31日までの制度です。条件は10万・20万・40万の判定表にまとめてあります。
※ No.5403 と通達7-1-11 の判定単位の記述は、文言上は10万円未満・20万円未満の判定について書かれたものです。少額特例(40万円未満)も1単位ごとに判定するのが一般的な扱いですが、措置法側の一次情報は当サイトでは確認できていません。
耐用年数 ― 器具備品なら6年、建物附属設備なら13年か15年
エアコンは、器具及び備品に入るか、建物附属設備に入るかで耐用年数が変わります。通達が名指ししているのは、ウインドータイプ(器具備品の「冷房用又は暖房用機器」)と、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するパッケージ型(建物附属設備)の2つだけです(耐用年数通達2-7-4)。
| 品目 | 別表第一の区分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 窓用エアコン(ウインドータイプ)・電気ストーブ | 器具及び備品「1」の 冷房用又は暖房用機器(通達2-7-4が名指し) | 6年 |
| ダクトで広範囲を冷房するパッケージ型エアコン | 建物附属設備「冷房、暖房、通風又はボイラー設備」の 冷暖房設備(通達2-7-4(注)・2-2-4(1)が名指し) | 冷凍機の出力22kW以下 13年 その他のもの 15年 |
| 壁掛けのルームエアコン(室内機と室外機を配管でつなぐ型) | 名指しした一次情報なし。候補は①冷房用又は暖房用機器、②建物附属設備の冷暖房設備 | 断定できない ①なら6年、②なら13年/15年 |
| 天井埋め込み型など、ダクトを使わない業務用エアコン | 名指しなし。候補は同じ①② | 断定できない ①なら6年、②なら13年/15年 |
建物附属設備の冷暖房設備は、冷凍機の出力が22kW以下なら13年、それ以外は15年です。冷房専用のものもここに含まれ、「冷凍機の出力」は冷凍機に直結する電動機の出力をいいます(耐用年数通達2-2-4)。壁掛けのルームエアコンを6年で置くか13年・15年で置くかで、毎年の償却額が倍以上変わるので、顧問税理士に確認してから固定してください。他の備品の年数は器具備品の耐用年数表にまとめています。
取付工事費は取得価額に入る ― 10万円の線は工事費込みで見る
購入した減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・購入手数料など購入のために要した費用を加えた額)と、その資産を事業の用に供するために直接要した費用の合計です(法人税法施行令第54条第1項第1号)。エアコンは取り付けないと使えないので、取付工事の費用も取得価額に含めて10万・20万・40万の線を判定します。
見積書や請求書で本体と工事費が分かれて書かれていても、判定は合計額です。配管の延長のように、そのエアコンを使えるようにするための工事も含めます。専用の電源回路を引く工事のように、建物の電気設備に当たりうる工事の扱いは、この記事では一次情報を確認できていません。請求書の内訳を分けて残しておいてください。
古いエアコンの取り外し・処分の費用をどう扱うか(新しいエアコンの取得価額に入れるか、その期の費用か)は、この記事では一次情報を確認できていないので扱いません。
償却資産税 ― 家屋の評価に入る設備と、償却資産として申告する設備
固定資産税では、建物に取り付けた設備が家屋の評価に含まれるか、償却資産として申告するかが分かれます。償却資産は「土地及び家屋以外の」事業用の資産です(地方税法第341条第4号)。
東京都(23区)の扱いでは、家屋の評価に含まれる建築設備は「家屋の所有者が所有するもの」「家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となっているもの」「家屋の効用を高めるもの」の3要件を備えたものとされ、償却資産の申告対象となる建築設備の例にルームエアコン(ウインド型、スプリット型)が挙げられています。自社所有の建物と一体で取り付けた空調設備には、家屋として評価されるものがあります。
借りている事務所にテナントとして取り付けた事業用の内装・造作及び建築設備等は、東京都の扱いでは償却資産として申告の対象です。地方税法第343条第10項も、家屋の所有者以外の者が事業のために取り付けて家屋に付合した附帯設備について、取り付けた者を所有者とみなし、家屋以外の資産として固定資産税を課することができると定めています。
東京都自身が、自治体によって扱いが異なる場合があるとしています。所在地の市町村の申告の手引きで確認してください。なお、これは固定資産税の区分で、法人税の耐用年数で器具備品か建物附属設備かを決める根拠にはなりません。
判定単位と償却資産税
判定単位は、組み合わせて機能する単位です。取得価額の判定は「通常1単位として取引されるその単位ごと」に行い、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに見ます(国税庁タックスアンサーNo.5403・法人税基本通達7-1-11)。壁掛けのルームエアコンは室内機と室外機が組で取引され、組み合わせないと冷暖房できないので、1組で見るのが素直な読み方です(室内機と室外機を1組で見ることを名指しした一次情報は確認できていません)。会議室と執務室に1組ずつ入れたなら、同じ日の同じ請求書でも1組ずつです。室外機1台に室内機を複数つなぐ型は単位の切り方が分かれるので、顧問税理士と決めておいてください。
償却資産税は、土地・家屋以外の事業に使う有形の減価償却資産が対象です(家屋の評価に含まれるものを除く)。少額特例で全額損金にしたものと通常償却しているものは、毎年1月1日現在の資産として1月31日までに申告する対象で、申告には耐用年数も書きます(地方税法第383条)。一方、10万円未満で損金経理したものと一括償却資産は対象外です(地方税法第341条第4号・同法施行令第49条)。建物と一体の空調設備が家屋の評価に含まれる場合については、上の「償却資産税 ― 家屋の評価に入る設備と、償却資産として申告する設備」の節を見てください。
ここで間違える
本体価格が10万円未満でも、工事費込みで10万円以上なら10万円未満の全額費用は使えない
取得価額には、購入の代価のほか、事業の用に供するために直接要した費用が入ります(法人税法施行令第54条)。エアコンは取り付けて初めて使えるので、本体と取付工事費の合計で10万・20万・40万の線を見ます。本体だけを見て消耗品費で落とし、工事費を別の科目で処理すると、合計では資産になるものを全額費用にしてしまいます。なお中小企業者等なら、工事費込みで40万円未満までは少額特例で全額を損金にする道が残ります。
「エアコンは6年」と決め打ちしない ― 建物附属設備なら13年か15年
6年は器具及び備品の「冷房用又は暖房用機器」の年数で、通達が名指ししているのはウインドータイプです。ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するパッケージ型は建物附属設備で、冷凍機の出力22kW以下なら13年、それ以外は15年になります(耐用年数通達2-7-4・2-2-4)。壁掛けのルームエアコンはどちらとも名指しされていないので、6年で固定する前に顧問税理士に確認してください。
22kWはカタログの「冷房能力」ではなく、冷凍機に直結する電動機の出力
建物附属設備の13年と15年を分ける22kWは、冷凍機に直結する電動機の出力です(耐用年数通達2-2-4)。カタログに大きく出ている「冷房能力」「暖房能力」のkW表示とは別の数字の場合があるので、仕様書で電動機の出力を確かめてから年数を決めてください。
金額の帯ごとに探す
同じエアコンでも、部屋の広さと取付工事の内容で金額の帯が変わります。下のリンクの絞り込みはAmazonの表示価格(本体)なので、工事費を足すと上の帯に移ることがあります。帯は工事費を足した額で当てはめてください。 価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してから判定してください。
- 窓用エアコン(10万円未満に絞り込み) 通達が「冷房用又は暖房用機器」(6年)と名指ししているウインドータイプ。取付工事が要るかどうかは商品ごとに確認
- 小部屋向けのルームエアコン(10万円未満に絞り込み) 本体が10万円未満でも、工事費を足して10万円以上なら10万円未満の全額費用は使えない。合計で判定する
- 中くらいの部屋向けのルームエアコン(20万円未満に絞り込み) 工事費込みで10万〜20万円なら、一括償却資産か、中小企業者等なら少額特例の選択。壁掛け型は名指しがないので、少額特例か通常償却で扱うなら6年か13年・15年かを先に決める
- 大きい部屋向けのルームエアコン(40万円未満に絞り込み) 中小企業者等は、工事費込みで40万円未満なら少額特例で初年度に全額(令和8年4月1日以後の取得。除外要件は「金額で決まること」の表の下の※)。超えると通常償却
判定は組ごと、償却資産の申告は資産ごとです。Amazonビジネス(登録無料)にすると 購買履歴が会社名義で一元化され、見積書の発行や請求書払いも使えます。エアコンは本体と取付工事が別の請求になりやすいので、合計の取得価額を後から追える形で残しておくと、判定と償却資産の申告が楽になります。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元・出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索) ― 別表第一 器具及び備品「1 家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」の 冷房用又は暖房用機器=6年/建物附属設備「冷房、暖房、通風又はボイラー設備」の 冷暖房設備(冷凍機の出力が二十二キロワット以下のもの)=13年・その他のもの=15年
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-7-4(国税庁) ― 「冷房用又は暖房用機器」には、いわゆるウインドータイプのルームクーラー又はエアーコンディショナー、電気ストーブ等が該当する。ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するパッケージドタイプは建物附属設備に該当する
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-2-4(国税庁) ― パッケージドタイプでもダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは建物附属設備の冷房設備/冷暖房設備には冷房専用のものも含まれる/「冷凍機の出力」とは冷凍機に直結する電動機の出力
- 固定資産税(償却資産)Q&A 1-2・1-3(東京都主税局) ― 家屋の評価に含まれる建築設備の3要件/償却資産の申告対象となる建築設備の例にルームエアコン(ウインド型、スプリット型)/テナント等が取り付けた事業用の内装・造作及び建築設備等は償却資産として申告の対象/東京都(23区)の取扱いであり自治体によって異なる場合がある
- 地方税法 第343条第10項(e-Gov法令検索) ― 家屋の所有者以外の者が事業のために取り付け、家屋に付合した附帯設備は、取り付けた者を所有者とみなし、家屋以外の資産として固定資産税を課することができる
- 法人税基本通達 7-1-11(国税庁) ― 取得価額は通常1単位として取引される単位ごと、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに判定
- 法人税法施行令 第54条(e-Gov法令検索) ― 購入した減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・購入手数料その他購入のために要した費用を加算)と、事業の用に供するために直接要した費用の合計
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 10万円未満の少額の減価償却資産(損金経理)、20万円未満の一括償却資産(3年)、貸付用資産の除外
- 租税特別措置法 第67条の5(e-Gov法令検索) ― 少額減価償却資産の特例。40万円未満、年300万円、損金経理要件、令和11年3月31日まで
- 令和8年度税制改正の大綱 三(財務省) ― 取得価額40万円未満への引き上げと中小企業者等の範囲(従業員400人以下)
- 租税特別措置法施行令 第39条の28・令和8年政令第98号附則第20条(e-Gov法令検索) ― 中小企業者等は常時使用する従業員400人以下(改正前は500人以下)。令和8年4月1日前に取得した少額減価償却資産は、なお従前の例(500人以下)による
- 地方税法(e-Gov法令検索) ― 第341条第4号(償却資産の定義)、第383条(毎年1月1日現在の資産を1月31日までに申告)
- 地方税法施行令(e-Gov法令検索) ― 第49条(損金経理した10万円未満の資産と一括償却資産を償却資産から除外)
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の資産について税務上の判断を示すものではありません。 エアコンが器具及び備品か建物附属設備か(とくに壁掛けのルームエアコン)は別表第一と通達に名指しがなく、構造・用途による当てはめの結論は状況によって変わります。空調設備が家屋の評価に含まれるか償却資産として申告するかも、建物の所有関係と市町村の扱いによって変わります。「令和8年4月1日以後に取得したものから40万円未満」という区分は、令和8年3月31日法律第12号の附則第1条(令和8年4月1日から施行)と附則第65条(施行日以後に取得した少額減価償却資産に新法を適用し、施行日前の取得は従前の例による)で確認しました。3月末をまたぐ取得は特に注意してください。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- その修理は費用か資産か ― 修繕費と資本的支出の判定表20万円未満、おおむね3年以内の周期、区分が不明なら60万円未満か前期末取得価額の10%以下。3本の線を上から順に当てていく形にまとめました。
- 20万円未満で得なのはどっちか ― 一括償却資産と少額特例の分岐3年で見れば損金の総額は同じ。違うのは各年に落ちる額と、償却資産税、途中で捨てたときの扱いです。一括償却資産は除却しても損を計上できず3年続きます。
- オフィスの冷蔵庫は6年、電子レンジは表に名前がない ― 給湯室の家電の判定表電気冷蔵庫の耐用年数は別表第一で6年。電子レンジとウォーターサーバーは表に直接の記載がなく、当てはめで決めます。10万・20万・40万の金額の線、判定単位、償却資産税、レンタルなら費用になる点まで1枚に。
- 空気清浄機・加湿器は耐用年数表に名前がない ― 候補は6年の行か項末尾の15年・8年、10万円未満なら全額費用の判定表空気清浄機と加湿器は、耐用年数省令の別表第一に名前がなく、名指しした一次情報もありません。候補は「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」(6年)、暖房・冷房の機能を併せ持つものは「冷房用又は暖房用機器」(6年)、どちらにも当たらなければ項末尾の「その他のもの」(15年・8年)。10万円未満なら損金経理で全額費用にでき、年数を決める必要がありません。金額の線、判定単位、償却資産税まで1枚に。