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看板は3年、
広告塔は10年か20年
看板の判定表 ― 金額の線は他の備品と同じ。違うのは、器具備品の看板と構築物の広告塔で耐用年数が大きく違うことです。
店舗や事務所の看板は、製作費と取付費を含めた取得価額で1点ごとに判定し、10万円未満なら全額費用、20万円未満なら一括償却資産(3年均等)、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。3月31日以前は30万円未満)なら中小企業者等は少額特例で全額損金にでき、それ以上は通常償却です。通常償却の耐用年数は、看板・ネオンサインが3年(器具及び備品「5 看板及び広告器具」)。野立看板や広告塔のように広告のために構築された工作物は構築物の「広告用のもの」で、金属造のもの20年・その他のもの10年です。販売店がメーカーから無償でもらった、専ら広告宣伝に使う看板には、取得による経済的利益の額はないとされています。
金額で決まること
金額の線の引き方は事務机やパソコンと同じです。違うのは、看板は製作と取付けが一体になりやすく、製作費と取付費を足した額で帯を当てはめることです。制度の説明は10万・20万・40万の判定表に任せ、ここではこの品目で起きることだけを並べます。
| 取得価額(1点あたり) | この品目で起きること | 初年度に落ちる額 | 償却資産税 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | A型看板・スタンド看板・小型のLED看板などが入りうる帯。製作費と取付費を足して判定する。損金経理すれば全額費用(全ての企業) | 全額 | 対象外 損金経理した場合 |
| 10万円以上 20万円未満 |
店名入りの壁面看板や電飾看板が入りうる帯。一括償却資産(3年均等・全ての企業)と、中小企業者等なら少額特例のどちらか。看板は通常償却でも耐用年数3年だが、各年の額は取得月と償却方法で変わる。どちらが得かは、各年の損金の出方・償却資産税・除却の扱いで変わる | 1/3 または 全額 | 一括償却なら対象外 少額特例なら対象 |
| 20万円以上 40万円未満 |
大型の電飾看板などが入りうる帯。中小企業者等は少額特例で全額損金(30万円以上は令和8年4月1日以後の取得に限る。年300万円まで)。それ以外の法人は、器具備品の看板なら3年の通常償却 | 全額 または 耐用年数に応じて | 対象 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却。器具備品の看板なら3年、構築物の広告塔なら金属造のもの20年・その他のもの10年 | 耐用年数に応じて | 対象 |
※ 取得価額は、購入の代価に購入のために要した費用と、事業の用に供するために直接要した費用を加えた額です(法人税法施行令第54条)。判定は点ごと(通常1単位として取引される単位ごと)に行います(法人税基本通達7-1-11)。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、10万円未満の全額費用・一括償却資産・少額特例のいずれからも除かれます。
※ 少額特例が使えるのは青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用する従業員400人以下。令和8年3月31日以前に取得した資産は500人以下で判定)のみです。通算法人・適用除外事業者は使えず、経営強化税制E類型の計画に記載された資産も対象外。損金経理と適用額明細書の添付が要件で、年300万円まで・令和11年3月31日までの制度です。条件は10万・20万・40万の判定表にまとめてあります。
※ No.5403 と通達7-1-11 の判定単位の記述は、文言上は10万円未満・20万円未満の判定について書かれたものです。少額特例(40万円未満)も1単位ごとに判定するのが一般的な扱いですが、措置法側の一次情報は当サイトでは確認できていません。
耐用年数 ― 看板は3年、広告のための工作物は構築物
看板は、器具及び備品の「5 看板及び広告器具」に入るものと、構築物の「広告用のもの」に入るものに分かれます。構築物の「広告用のもの」は、いわゆる野立看板、広告塔等のように広告のために構築された工作物(建物の屋上又は他の構築物に特別に施設されたものを含む。)をいいます(耐用年数通達2-3-5)。
| 品目 | 別表第一の区分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 置き看板・スタンド看板・壁面の看板 | 器具及び備品「5」の 看板、ネオンサイン及び気球 | 3年 |
| ネオンサイン(ネオン放電管と変圧器等) | 同じ行。広告用のネオンサインは器具及び備品の「看板及び広告器具」(通達2-3-5(注)・2-7-10) | 3年 |
| ネオン放電管を取り付けた鉄塔・木塔 | 構築物の「広告用のもの」(通達2-7-10) | 金属造のもの 20年 その他のもの 10年 |
| 野立看板・広告塔・屋上の広告工作物 | 構築物の「広告用のもの」(通達2-3-5) | 金属造のもの 20年 その他のもの 10年 |
| マネキン人形・模型 | 器具及び備品「5」の マネキン人形及び模型 | 2年 |
| 建物の壁から突き出す袖看板 | 名指しなし。候補は、器具備品の看板と、構築物の「広告用のもの」(突き出しを支える金物・架台が、通達2-3-5 の「広告のために構築された工作物」に当たるかで分かれる) | 断定できない 3年か、20年/10年 |
| デジタルサイネージ | 名指しなし。候補はテレビ・音響機器の判定表にまとめている | 断定できない |
ネオンサインは、ネオン放電管と変圧器等が器具備品の3年、それを取り付けた鉄塔・木塔は構築物で、年数が大きく変わります(耐用年数通達2-7-10)。ネオンサイン以外の看板で、看板の面と支柱を分けて扱ってよいかを名指しした一次情報は確認できていません。製作の見積書の内訳は残しておき、袖看板のように当てはめに迷うものも含めて、顧問税理士に確認してから固定してください。
メーカーからもらった看板 ― 専ら広告宣伝に使うものは経済的利益なし
販売店などがメーカー(製造業者等)から資産を無償でもらうと、原則として経済的利益の額を益金に算入します。ただし、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように、専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はないとされています(法人税基本通達4-2-1(注))。
専ら広告宣伝用とまでは言えないものの広告宣伝用であることが明らかな資産(通達は、車体の大部分に一定の色彩を塗装して製品名や社名を表示した自動車、製品名や社名の広告宣伝を目的とした陳列棚・陳列ケース・冷蔵庫・容器、展示用モデルハウスのような製品の見本を挙げています)は、メーカーの取得価額の3分の2から自社の負担額を引いた額で経済的利益を計算し、同じメーカーからのものの合計が30万円以下なら経済的利益の額はないものとされます(同通達ただし書)。専ら広告宣伝用のものにも、ただし書の資産にも当たらない資産を無償や低額で受け取った場合は、原則どおり、メーカーの取得価額(自社が負担した額があれば、それを引いた額)が経済的利益の額です(同通達本文)。
製作費と取付費は取得価額に入る
購入した減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・購入手数料など購入のために要した費用を加えた額)と、事業の用に供するために直接要した費用の合計です(法人税法施行令第54条第1項第1号)。看板を取り付ける工事の費用も含めて、10万・20万・40万の線を判定します。
償却資産税では、10万円未満で損金経理したものと一括償却資産を除き、看板は申告の対象です。東京都(23区)の償却資産の例示には「看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)」が挙がっていて、現実に減価償却を行っていない資産であっても、本来減価償却が可能な資産であれば申告の対象になるとしています(償却資産Q&A 1-4。自治体によって扱いが異なる場合があるとされています)。メーカーから無償でもらった看板の扱いは、所在の市町村の申告の手引きで確認してください。
判定単位と償却資産税
判定単位は1点ごとです。取得価額の判定は「通常1単位として取引されるその単位ごと」に行い、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに見ます(国税庁タックスアンサーNo.5403・法人税基本通達7-1-11)。店頭の置き看板と壁面の看板を同時に作っても、別々に機能するなら1点ずつです。文字を1字ずつ取り付ける切り文字の看板のように、組み合わさって一つの看板として機能するものは、全体で1点と見るのが通達の「1組・1そろい」に近い読み方です(名指しした一次情報は確認できていません)。
償却資産税は、土地・家屋以外の事業に使う有形の減価償却資産が対象です。少額特例で全額損金にしたものと通常償却しているものは、毎年1月1日現在の資産として1月31日までに申告する対象で、申告には耐用年数も書きます(地方税法第383条)。一方、10万円未満で損金経理したものと一括償却資産は対象外です(地方税法第341条第4号・同法施行令第49条)。帳簿に資産として載せていない看板の扱いは、上の「製作費と取付費は取得価額に入る」の節を見てください。
ここで間違える
看板は3年でも、野立看板・広告塔やネオンの鉄塔は構築物
別表第一の3年は、器具及び備品の「看板、ネオンサイン及び気球」の年数です。野立看板・広告塔のように広告のために構築された工作物は構築物の「広告用のもの」で、金属造のもの20年・その他のもの10年です(耐用年数通達2-3-5)。ネオンサインも、ネオン放電管と変圧器等は器具備品ですが、それを取り付けた鉄塔・木塔は構築物です(通達2-7-10)。
10万円以上20万円未満の看板は、一括償却資産も通常償却も3年。ただし毎年の額は同じではない
看板の耐用年数は3年なので、一括償却資産(3年均等)を選んでも、器具備品として通常償却しても、年数はどちらも3年です。ただし毎年費用にできる額は同じになりません。一括償却資産は取得価額を36で割って事業年度の月数を掛けた額で、事業に使い始めた月に左右されません(法人税法施行令第133条の2)。通常償却は、期中に使い始めた年は使い始めた月からの月割りになり(同施行令第59条)、償却方法(器具及び備品は定額法か定率法。同施行令第48条の2)によっても各年の額が変わります。ほかに、償却資産税(一括償却資産は対象外)と、途中で撤去したときの扱い(一括償却資産は除却損を計上できず3年続く)も違います。
専ら広告宣伝用ではない資産をもらったときは、経済的利益が出ることがある
看板・ネオンサイン・どん帳のように専ら広告宣伝の用に供される資産は、取得による経済的利益の額はないとされます(法人税基本通達4-2-1(注))。製品名や社名の広告宣伝を目的としていることが明らかな陳列棚・冷蔵庫などは、メーカーの取得価額の3分の2から自社の負担額を引いた額で計算し、同じメーカーからの合計が30万円以下なら経済的利益の額はないものとされます(同ただし書)。どちらにも当たらない資産を無償や低額で受け取った場合は、メーカーの取得価額(から自社の負担額を引いた額)が経済的利益の額です(同本文)。
金額の帯ごとに探す
同じ看板でも、置き看板と電飾看板で帯が変わります。取付けを頼む看板は、Amazonの表示価格に取付費が入っていないことがあるので、合計額で帯を当てはめてください。 価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで確認してから判定してください。
- スタンド看板・A型看板(10万円未満に絞り込み) 器具備品の看板(3年)の行。10万円未満で損金経理すれば全額費用
- LED看板・電飾看板(20万円未満に絞り込み) 10万円以上なら一括償却資産(3年)か、中小企業者等なら少額特例(全額)。看板は通常償却でも耐用年数3年
- 大型の屋外看板(40万円未満に絞り込み) 中小企業者等は、取付費込みで40万円未満なら少額特例で初年度に全額(令和8年4月1日以後の取得。除外要件は「金額で決まること」の表の下の※)。地面に構築する広告塔のような工作物になると構築物
判定は点ごと、償却資産の申告は資産ごとです。Amazonビジネス(登録無料)にすると 購買履歴が会社名義で一元化され、見積書の発行や請求書払いも使えます。看板は店舗の移転や改装で撤去することがあるので、いつ・いくらで作ったかが残っていると、撤去したときの処理が楽になります。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元・出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索) ― 別表第一 器具及び備品「5 看板及び広告器具」の 看板、ネオンサイン及び気球=3年/マネキン人形及び模型=2年/その他のもの(主として金属製のもの10年・その他のもの5年)、構築物の 広告用のもの(金属造のもの20年・その他のもの10年)
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-3-5(国税庁) ― 構築物の「広告用のもの」とは、いわゆる野立看板、広告塔等のように広告のために構築された工作物(建物の屋上又は他の構築物に特別に施設されたものを含む。)。広告用のネオンサインは器具及び備品の「看板及び広告器具」
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-7-10(国税庁) ― ネオンサインとはネオン放電管及びこれに附属する変圧器等の電気施設をいい、ネオン放電管が取り付けられている鉄塔、木塔等は構築物の「広告用のもの」
- 法人税基本通達 4-2-1(国税庁) ― 広告宣伝用資産等の受贈益。専ら広告宣伝の用に供される看板・ネオンサイン・どん帳は経済的利益の額はない。それ以外の広告宣伝用資産は取得価額の3分の2基準と30万円以下の基準
- 法人税法施行令 第48条の2・第59条・第133条の2(e-Gov法令検索) ― 器具及び備品の償却方法は定額法又は定率法(第48条の2第1項第2号)。期中に事業の用に供した資産の償却限度額は月割り(第59条第1項第1号)。一括償却資産は一括償却対象額を36で除し事業年度の月数を乗じた額(第133条の2第1項)
- 固定資産税(償却資産)(東京都主税局) ― 申告対象となる主な償却資産の例示に「看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)」。償却資産Q&A 1-4:現実に減価償却を行っていない資産であっても、本来減価償却が可能な資産であれば申告の対象。東京都(23区)の取扱い
- 法人税基本通達 7-1-11(国税庁) ― 取得価額は通常1単位として取引される単位ごと、器具及び備品は1個・1組・1そろいごとに判定
- 法人税法施行令 第54条(e-Gov法令検索) ― 購入した減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・購入手数料その他購入のために要した費用を加算)と、事業の用に供するために直接要した費用の合計
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 10万円未満の少額の減価償却資産(損金経理)、20万円未満の一括償却資産(3年)、貸付用資産の除外
- 租税特別措置法 第67条の5(e-Gov法令検索) ― 少額減価償却資産の特例。40万円未満、年300万円、損金経理要件、令和11年3月31日まで
- 令和8年度税制改正の大綱 三(財務省) ― 取得価額40万円未満への引き上げと中小企業者等の範囲(従業員400人以下)
- 租税特別措置法施行令 第39条の28・令和8年政令第98号附則第20条(e-Gov法令検索) ― 中小企業者等は常時使用する従業員400人以下(改正前は500人以下)。令和8年4月1日前に取得した少額減価償却資産は、なお従前の例(500人以下)による
- 地方税法(e-Gov法令検索) ― 第341条第4号(償却資産の定義)、第383条(毎年1月1日現在の資産を1月31日までに申告)
- 地方税法施行令(e-Gov法令検索) ― 第49条(損金経理した10万円未満の資産と一括償却資産を償却資産から除外)
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の資産について税務上の判断を示すものではありません。 袖看板・切り文字の看板・デジタルサイネージの区分や判定単位は、別表第一と通達に名指しがなく、状況によって結論が変わります。「令和8年4月1日以後に取得したものから40万円未満」という区分は、令和8年3月31日法律第12号の附則第1条(令和8年4月1日から施行)と附則第65条(施行日以後に取得した少額減価償却資産に新法を適用し、施行日前の取得は従前の例による)で確認しました。3月末をまたぐ取得は特に注意してください。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- 20万円未満で得なのはどっちか ― 一括償却資産と少額特例の分岐3年で見れば損金の総額は同じ。違うのは各年に落ちる額と、償却資産税、途中で捨てたときの扱いです。一括償却資産は除却しても損を計上できず3年続きます。
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