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買い切りのソフトウェアは5年の資産、
月額のサブスクは期間の費用

ソフトウェアの10万・20万・40万 ― 無形資産なので、どの処理を選んでも償却資産税はかかりません。

一文で言うと

購入したソフトウェアは無形減価償却資産で、耐用年数は5年(複写して販売するための原本は別表第三で3年、開発研究用のものは別表第六で3年)。10万円未満の全額費用処理と20万円未満の一括償却資産は全ての企業が、40万円未満の少額特例(令和8年4月1日以後の取得。3月31日以前は30万円未満)は青色申告の中小企業者等がソフトウェアにも使えます。無形資産なので償却資産税の対象外です。月額・年額のサブスクリプションは取得ではなく、利用期間に対応する費用として扱う考え方になります。

金額を入れると、使える処理と行き先が出ます

※ 判定結果は有形資産を前提にした文面が出ます。ソフトウェアでは次の2点が違います。
償却資産税:どの金額帯・どの処理でも対象外です(無形減価償却資産・下の「償却資産税」の項)。判定結果の「対象(有形資産)」は当てはまりません。
40万円以上の帯:判定結果に出る「事務用の器具備品は中小企業経営強化税制の対象外」という説明は器具備品についてのものです。ソフトウエアは同税制の対象資産に含まれ、規模要件は70万円以上(A・B・D類型)。生産等設備に当たるかを含め、適用の可否は顧問税理士にご確認ください。
「令和8年4月1日以後に取得」のチェックについては、下の「適用開始日について」の注記も併せてご確認ください。

まず分ける

買い切り(パッケージ版・永続ライセンス)は資産の取得、月額・年額のサブスクリプションは利用期間に対応する費用。 買い切りなら10万・20万・40万の線がそのまま効き、耐用年数は5年
有形の備品と違い償却資産税がかからないので、20万円未満の帯で一括償却を選ぶ理由が1つ消えます。

最終更新 2026-09-05 / 根拠:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第三・別表第六・法人税法施行令第13条・第133条・第133条の2・租税特別措置法第67条の5・地方税法第341条第4号・法人税基本通達2-2-14

買い切りとサブスクで、入口が違う

法人税法施行令第13条は、減価償却資産の範囲に無形固定資産の1つとしてソフトウエアを挙げています。 購入したソフトウェアはここに入ります。契約期間だけ使えるサブスクリプションは、資産を「取得」した形ではありません。

形態税務上の性格金額の線年数
買い切り
パッケージ版・永続ライセンス・ダウンロード購入
無形減価償却資産(ソフトウエア)10万/20万/40万の線が効く5年
月額・年額のサブスクリプション
クラウド利用料を含む
利用期間に対応する費用
未提供の期間分は前払費用の性格
線はない

金額の線と、ソフトウェアで起きること

閾値の制度そのものは10万・20万・40万の判定表一括償却と少額特例の比較に譲り、ここではソフトウェアだと何が変わるかだけを並べます。 10万円未満(施行令第133条)と一括償却資産(第133条の2)は、条文上は「減価償却資産」が対象で、有形に限る文言はありません (無形も対象と明記した国税庁の記載は、当サイトでは確認できていません)。 少額特例のほうは、国税庁がソフトウエア等の無形減価償却資産も対象と明記しています(No.5408 注意事項2)。

取得価額 使える処理 ソフトウェアだと変わること 償却資産税
10万円未満 全額を費用処理(全ての企業)/一括償却資産/通常償却
10万円未満の資産と一括償却資産に少額特例は使えません
設定作業や自社向けの修正作業の費用が取得価額に加わるので、本体価格だけで判定しない 対象外
10万円以上
20万円未満
一括償却資産(全ての企業)/少額特例(中小企業者等)/通常償却 有形なら「償却資産税を避けるために一括償却」という比較が効くが、ソフトウェアではその理由が消える 対象外
20万円以上
40万円未満
少額特例(中小企業者等・年300万円まで)/通常償却 中小企業者等なら初年度に全額。それ以外は5年の定額法で償却する 対象外
40万円以上 通常償却のみ 5年で償却。複写して販売するための原本は3年(開発研究用は別表第六で3年) 対象外

※ いずれも、取得して事業の用に供した事業年度の処理です。
※ 少額特例が使えるのは青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用する従業員400人以下)だけです。 詳細は10万・20万・40万の判定表へ。
※ 少額特例の40万円未満は令和8年4月1日以後に取得したものから。3月31日以前の取得は30万円未満です。 通算法人・適用除外事業者は使えず、経営強化税制E類型の計画に記載した資産も対象外。損金経理と明細・適用額明細書の添付が要件です。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、上の3つの特例からいずれも除かれます。

※ 適用開始日について。40万円未満への引き上げは租税特別措置法第67条の5の現行条文で施行済みであることを確認しました。 ただし「令和8年4月1日以後に取得したものから」という取得時期の区分は改正法の附則(経過措置)によるもので、当サイトではその原文を確認できていません。 3月末をまたぐ取得については顧問税理士にご確認ください。

耐用年数は別表第三の「ソフトウエア」

器具備品の別表第一ではなく、無形減価償却資産の耐用年数表(別表第三)で引きます。 業務で使うために購入したソフトウェアは「その他のもの」で5年。国税庁の質疑応答でも、ネットワークOSやアプリケーションソフトは5年に区分されています。 無形固定資産の償却方法は定額法です(施行令第48条の2第1項第4号)。

種類細目耐用年数
ソフトウエア複写して販売するための原本3年
ソフトウエアその他のもの(業務で使うために購入したもの)5年

※ 開発研究(研究開発)の用に供するソフトウエアの3年は、別表第三ではなく 別表第六(開発研究用減価償却資産の耐用年数表)によるものです。国税庁 タックスアンサー No.5461 も 根拠法令に「耐令別表第三、第六」を並べています。

パソコンは4年(サーバー用は5年。ノートPC・デスクトップ・サーバーの判定表器具備品の耐用年数表)、ソフトウェアは5年。セットで買っても年数が違います。

取得価額と判定単位

取得価額は購入の代価+購入に要した費用+事業の用に供するために直接要した費用で、 導入時の設定作業や自社仕様に合わせる修正作業の費用も含みます(下の「ここで間違える」)。

判定の単位は、国税庁のタックスアンサーが「通常1単位として取引されるその単位ごと」と示し、 法人税基本通達7-1-11が工具・器具・備品について「1個、1組又は1そろいごと」と例示しています。 ただしソフトウェアについての例示は、これらの一次情報にはありません。 複数ライセンスをまとめて買う場合や、本体と追加モジュールを同時に入れる場合に何を1単位と見るかは、 契約と利用形態によって結論が変わるため、顧問税理士にご確認ください。

償却資産税は「そもそも対象外」

地方税法第341条第4号は、償却資産を定義する際に 「鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く」と括弧書きしています。 ソフトウェアはこの無形減価償却資産なので、少額特例で全額落としても、通常償却で5年かけても、償却資産の申告に載りません。 有形の備品では少額特例を使った資産が課税対象になるのと、ここが違います。

月額・年額のサブスクリプション

利用期間だけ使える契約は、ソフトウェアを取得したものではなく、役務の提供を受ける契約です。 月払いなら、その月の利用料をその期の費用にする形になります。年払いにしたときは、期末時点でまだ提供を受けていない期間の分が 前払費用の性格を持ち、法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)の支払った日から1年以内・継続適用という枠が関係します。

※ サブスクリプションの利用料の損金算入時期を直接述べた国税庁の記載は、当サイトでは確認できていません(消費税の「電気通信利用役務の提供」の説明はありますが、法人税上の処理を述べたものではありません)。 クラウド上の初期設定費用や、買い切りと利用料が混ざった契約は、扱いが分かれることがあります。

ここで間違える

設定作業の費用まで取得価額に入る。本体だけで10万円未満を判定しない

国税庁は、導入に当たって必要な設定作業や、自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用も取得価額に算入するとしています。 パッケージの価格だけを見て10万円未満と判定し、設定費用を足すと超えていた、という形で結論が変わります。

ソフトウェアでは「償却資産税を避けるために一括償却」の理由が消える

有形の備品では、20万円未満の帯で一括償却資産を選ぶと償却資産税の対象から外れるという比較が効きます。 ソフトウェアはどの処理を選んでも償却資産税の対象になりません。少額特例を使える中小企業者等なら、この帯で一括償却を選ぶ税務上の理由は小さくなります。 一方、一括償却資産は途中で使わなくなっても除却損を一括計上できない点(一括償却と少額特例)は、有形・無形を問わず同じです。

年払いのサブスクリプションは「買った」ことにならない

年払いにしても、利用期間中だけ使える契約はソフトウェアを取得したものではなく、 まだ提供を受けていない期間の分は前払費用の性質を持ちます。 法人税基本通達2-2-14は、前払費用は原則その事業年度の損金にならないとしたうえで、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを 継続して支払日の属する事業年度の損金にしているときは認める、としています。2年分・3年分をまとめて払うと「1年以内」を満たしません。

買い切りで買うなら、線を確かめてから

価格は変動するので、実際の金額に設定作業などの付随費用を足した取得価額で判定してください。

買い切りのソフトウェア
買い切りかサブスクかを、購買記録で分けておく

ソフトウェアは請求書の名目だけでは買い切りか利用契約か判別しにくく、決算時に契約書を探すことになりがちです。 Amazonビジネス(登録無料)にすると、購買履歴が一元化され、購入者アカウントの分割や購買レポートも使えます。 何を、いつ、どの形態で買ったかが残るので、耐用年数の起点や前払費用の期間を後から確かめやすくなります。

※ 見積書の発行や請求書払いは、パッケージ版などの物理商品が対象です。 ダウンロード版のソフトウェアはデジタル商品に当たるため、原則としてこれらの対象外とされています。 請求書払いには別途審査もあります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは 支払方法によって扱いが異なるため、経理処理の前に自社の要件で確認してください。

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出典

この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の契約について税務上の判断を示すものではありません。 買い切りか利用契約か、取得価額に含める付随費用の範囲、判定単位、前払費用の期間は、契約の内容によって結論が変わります。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。