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ビジネスフォンは、
主装置と子機を分けて判定しないのが基本
電話設備の耐用年数は6年と10年 ― 主装置+子機の一式でいくらか、が10万・20万・40万円の線の入口です。
ビジネスフォン・PBXの耐用年数は、別表第一「電話設備その他の通信機器」のうちデジタル構内交換設備・デジタルボタン電話設備が6年、それ以外の通信機器が10年です。取得価額は「通常1単位として取引される単位」(器具及び備品は1個・1組・1そろい)ごとに判定するので、主装置+子機は一式が単位になる方向に働き、一式が10万円未満なら全額費用処理、20万円未満なら一括償却資産、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。3月31日以前は30万円未満)なら中小企業者等に限り少額特例が使えます。ただし表に「ビジネスフォン」「PBX」という語はなく、原文の区分に当てはめた整理です。どちらに当たるかの最終判断は顧問税理士にご確認ください。
ビジネスフォンは主装置1台+電話機(子機)数台の組で買うのが普通で、
「子機1台なら10万円未満」と考えたくなります。ところが判定単位は通常1単位として取引される単位で、
主装置単体では通話できません。
一式でいくらかを先に見て、40万円以上なら耐用年数は6年か10年、という順番です。
一式の金額で、起きることが変わる
3本の線と選べる処理の制度説明は判定表の記事に任せ、 ここでは電話設備で何が起きるかだけを書きます。金額は主装置+子機の一式で見ます(理由は次の見出し)。
帯を決めるのは商品価格ではなく取得価額です。引取運賃・据付費など、事業の用に供するために直接要した費用は取得価額に含まれます (法人税法施行令第54条第1項)。主装置の設置工事費・構内配線費をどこまで含めるかで帯が動くので、見積書の内訳を残しておいてください。
| 一式の取得価額 | 電話設備で起きること | 使える会社 | 償却資産税 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 損金経理すれば全額をその期の費用にできる | 全ての企業 | 対象外 損金経理した場合 |
| 10万円以上 20万円未満 |
一括償却資産(3年均等)か、中小企業者等なら少額特例かを選ぶ | 全ての企業 少額特例は中小企業者等のみ |
一括償却なら対象外 少額特例なら対象 |
| 20万円以上 40万円未満 |
中小企業者等なら少額特例で初年度に全額損金。それ以外の法人は通常償却(年数は下の行と同じ6年/10年) | 中小企業者等 のみ 令和8年4月1日以後の取得。 3月31日以前は30万円未満 |
対象 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却。デジタル構内交換設備・デジタルボタン電話設備は6年、その他の通信機器は10年 | 全ての企業 | 対象 |
※ いずれも事業の用に供した事業年度の処理です。少額特例は年300万円まで・損金経理が要件で、確定申告書等への明細書(別表十六(七)等)と適用額明細書の添付も必要です。通算法人と、適用除外事業者に当たる中小企業者は使えず、経営強化税制のE類型(経営規模拡大設備の類型)の資産を記載した経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等も、計画にE類型の資産が記載されている間は使えません(記載を外せる場合とその条件は経営強化税制の判定表のE類型の項)。
※ 令和4年4月1日以後に取得した貸付用の資産(主要な事業として行う貸付けを除く)は、3つの特例のいずれからも除かれます。
※ 少額特例の上限40万円未満は令和8年4月1日以後に取得した資産から(3月31日以前の取得は30万円未満)。この取得時期の区分は、令和8年3月31日法律第12号の附則第1条(令和8年4月1日から施行)と附則第65条(施行日以後に取得した少額減価償却資産に新法を適用し、施行日前の取得は従前の例による)で確認しました。詳しくは判定表の注記を参照してください。
※ 10万円・20万円の線は、その資産の購入に適用される消費税の経理方式に従って判定します(税抜経理なら税抜、税込経理なら税込。売上を税込経理している会社と免税事業者は税込)。40万円の線(少額特例)も同じ扱いと解されます。登録番号のない出品者から買った場合など適格請求書の無い仕入れは、税抜経理でも、控除できない消費税の分(経過措置の割合で控除できない残り)が原則として取得価額に入ります(国税庁 No.5403 判定の例示・消費税経理通達・令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問3)。境界付近は顧問税理士に確認してください。
判定単位 ― 主装置と子機は「1そろい」で見る
取得価額は「通常1単位として取引されるその単位ごと」に判定します(国税庁 No.5403)。 法人税基本通達7-1-11はこれを具体化し、工具、器具及び備品は1個、1組又は1そろいごとと書いています。 No.5403 の例示では、応接セットはテーブルと椅子の1組、カーテンは部屋ごとの合計です。 「単体で機能するか、組で機能するか」が分かれ目です。
主装置は子機がなければ通話できず、子機は主装置がなければ動きません。一式として取引され一式で機能するものは、 一式を1単位として判定する方向に働きます。注文を主装置と子機に分けても、それだけで単位の考え方が変わるわけではありません。
※ 国税庁の記載に「主装置+子機」を名指しした例示はなく、上は応接セット・カーテンの例示と通達の「1組又は1そろい」を当てはめた一般的な整理です。 10万円未満・20万円未満の判定は法人税基本通達7-1-11が、少額特例(40万円未満)の判定は租税特別措置法関係通達67の5-2が、同じ「通常1単位として取引されるその単位」「1個、1組又は1そろいごと」の文言で定めています。 後から子機だけ買い足した場合も含め、最終判断は顧問税理士にご確認ください。
耐用年数 ― 6年と10年の2区分
通常償却になったときの年数は、別表第一「器具及び備品」の「2 事務機器及び通信機器」に 「電話設備その他の通信機器」として特掲されています。
| 別表第一の区分 | 細目(原文) | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 電話設備その他の通信機器 | デジタル構内交換設備及びデジタルボタン電話設備 | 6年 |
| 電話設備その他の通信機器 | その他のもの | 10年 |
| 参考:インターホーン及び放送用設備 | ― | 6年 |
| 参考:テレタイプライター及びファクシミリ | ― | 5年 |
「構内交換設備」はいわゆるPBX、「ボタン電話設備」はいわゆるビジネスフォンに当たる区分ですが、 「PBX」「ビジネスフォン」という語は表にありません。6年なのは「デジタル」の構内交換設備とボタン電話設備で、 それ以外の通信機器は「その他のもの」の10年です。デジタル式でないもの、IP電話機、クラウドPBXの端末をどちらに置くかを 名指しした一次情報はなく、構造・用途で当てはめることになります(特掲されていない細目は、類似する特掲品目の年数を 税務署長(調査課所管法人は国税局長)の確認を受けて適用できる枠組みがあります。耐用年数通達1-1-9)。年数は断定せず、最終判断は顧問税理士にご確認ください。 他の備品は器具備品の年数表へ。
償却資産税 ― 有形なので、少額特例を使っても申告対象
電話設備は有形の器具及び備品なので、少額特例で全額損金にしたものも通常償却するものも 償却資産税(固定資産税)の課税対象で、毎年1月1日現在の資産を1月31日までに市町村へ申告します。 外れるのは一括償却資産と10万円未満で損金経理したものです(リース資産は、所有者が取得した際の取得価額が20万円未満かどうかが除外の線になります。地方税法施行令第49条ただし書)。 同一市町村内の課税標準額の合計が150万円未満なら課税されません(免税点。令和9年度分からは180万円未満。地方税法351条。令和8年法律第2号による改正で、令和9年度分から適用)が、免税点未満でも申告は要ります。 20万円未満の帯の選び方は一括償却資産と少額特例の分岐へ。
ここで間違える
「ビジネスフォン」という名前で6年と決めない
表にあるのは「デジタル構内交換設備及びデジタルボタン電話設備」(6年)と「その他のもの」(10年)で、商品名や通称ではありません。 デジタル式でない電話機、IP電話機、クラウドPBXの端末を名指しした一次情報はなく、構造と用途から当てはめます。 年数が倍近く違うので、カタログの方式の記載を購買記録と一緒に残しておいてください。
主装置と子機を分けて発注すれば単位も分かれる、とは限らない
「子機1台は10万円未満だから消耗品費」は、単位の見方がずれています。器具及び備品は1個、1組又は1そろいごとに判定し、 主装置単体では通話できない設備は一式で機能します。注文を分けて1件ずつを10万円未満にしても、それだけで判定の単位が分かれるわけではありません(主装置+子機を名指しした国税庁の例示はなく、1組・1そろいの考え方を当てはめた整理です)。
クラウドPBXの月額利用料は、この判定表の対象外
この記事が扱うのは、買い切りで取得した主装置・電話機という有形の減価償却資産です。 クラウドPBXの月額・年額の利用料は資産の取得ではないため、10万・20万・40万円の線も耐用年数も関係しません。 利用料の法人税上の扱いを直接述べた国税庁の一次情報は確認できていないため、処理は顧問税理士にご確認ください。
一式の金額は子機の台数で動きます。価格は変動するので、実際の金額はAmazonの商品ページで一式分を確認し、上の表の帯に当てはめてください。
- 主装置+電話機のセット(40万円未満で絞り込み) 一式で20万円以上40万円未満なら、中小企業者等は少額特例で初年度に落とせる帯(令和8年4月1日以後の取得)。年300万円の枠と損金経理が条件
- 増設用の電話機(20万円未満で絞り込み) 既存の主装置への増設。単体では機能しないため、既存の一そろいに含めて判定するのか別単位として判定するのかで結論が変わります(一次情報の例示はありません)。絞り込みは表示価格の目安として使ってください
- オフィス用の電話機(10万円未満で絞り込み) 単体で機能する電話機なら1台ごとの判定。損金経理すれば全額費用で、償却資産税の申告にも載らない
- 法人向けIP電話機 6年か10年かを名指しした一次情報がない区分。方式の記載を残し、年数は顧問税理士と決める
判定単位も耐用年数も、何を何台、どの方式で買ったかで決まります。 Amazonビジネス(登録無料)にすると購買履歴が一元化され、見積書を発行でき、請求書払い(招待制・審査あり)の対象にもなりえます。 主装置と子機の内訳が1つの履歴に残るので、後から一式の金額を組み直す手間が減ります。
※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が適格請求書(インボイス)に該当するかは、 販売元がAmazon.co.jpか、出品者が適格請求書発行事業者として登録番号をAmazonに登録しているかによります。
出典
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(e-Gov法令検索) ― 器具及び備品「2 事務機器及び通信機器」電話設備その他の通信機器:デジタル構内交換設備及びデジタルボタン電話設備6年/その他のもの10年。インターホーン及び放送用設備6年、テレタイプライター及びファクシミリ5年
- 主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁・PDF) ― 電話設備その他の通信機器 デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話設備 6年/その他のもの 10年
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 ― 10万円未満の少額の減価償却資産と20万円未満の一括償却資産、「通常1単位として取引されるその単位ごと」の判定、応接セット・カーテンの例示、貸付用資産の除外
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 判定の例示 ― 10万円未満かどうかは、法人が適用している消費税等の経理処理方式に応じて算定した価額で判定する(税抜経理なら税抜、税込経理なら税込)。免税事業者は税込経理方式しか採れない
- 消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて(消費税経理通達) 3・3の2・5・9・14の2・経過的取扱い(国税庁) ― 売上げ等の収益に係る取引を税込経理する法人は、固定資産等の取得を税抜で経理していても税込経理方式を適用する(3)。消費税の納税義務が免除される法人は、税抜経理をしていても税込経理方式による(5)。少額の減価償却資産・一括償却資産の金額基準は、その取引に適用することとなる経理方式により算定した価額で判定し、措置法に規定する特別償却等の金額基準も同様とする(9)。仮払消費税等の額を超えて区分した金額は取得価額に含める(3の2)。控除される消費税額がない課税仕入れは、税抜経理でも区分した消費税等の額を対価の額に含める(14の2)。令和5年10月からの経過措置の期間中は、控除できる割合の分だけを仮払消費税等とし(令和3年課法2-6で追加された経過的取扱い(2)。その注で14の2は除かれる)、対価と区分して経理をした金額がないときは仮払消費税等の額はないものとできる(その次の経過的取扱い(3))
- 令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問3(国税庁) ― 税抜経理の法人が適格請求書発行事業者以外の者から課税仕入れを行った場合、控除できる割合の分だけを仮払消費税等とし、残額を取得価額とする(設例は令和5年10月〜令和8年9月の80%)
- 法人税法施行令 第54条(e-Gov法令検索) ― 減価償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃・荷役費・購入手数料等を含む)に、事業の用に供するために直接要した費用を加えた額
- 法人税基本通達 7-1-11(国税庁) ― 工具、器具及び備品は「1個、1組又は1そろいごと」に判定
- 租税特別措置法関係通達(法人税編)67の5-2(国税庁) ― 少額特例の40万円未満の判定も「通常1単位として取引されるその単位」「1個、1組又は1そろいごと」で行う
- 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-1-9(国税庁) ― 細目が特掲されていない器具及び備品は、類似する特掲品目の耐用年数を税務署長(調査課所管法人にあっては国税局長)の確認を受けて適用できる
- 租税特別措置法 第67条の5(e-Gov法令検索) ― 少額減価償却資産の特例。40万円未満、年300万円、損金経理、除外法人、令和11年3月31日まで
- 令和8年度税制改正の大綱 三(財務省) ― 取得価額40万円未満への引き上げ、従業員400人超の法人の除外
- 国税庁 タックスアンサー No.5408 ― 少額減価償却資産の特例の対象法人・貸付用資産の除外。2026年9月24日時点でも改正前(30万円未満・従業員500人以下)の内容が表示されています
- 地方税法(e-Gov法令検索) ― 第341条第4号(償却資産の定義)、第351条(免税点150万円。令和8年法律第2号による改正後の同条(令和9年4月1日施行・令和9年度分から適用)は180万円)、第383条(1月1日現在の資産を1月31日までに申告)
- 地方税法施行令 第49条(e-Gov法令検索) ― 10万円未満で損金経理した資産と一括償却資産を償却資産から除外
- 令和8年度税制改正の大綱 七(財務省) ― 償却資産に係る固定資産税の免税点を180万円に引き上げ(令和9年度以後の年度分から)
- 固定資産税(償却資産)(東京都主税局) ― 免税点未満でも申告が必要であること
- 少額減価償却資産の特例(中小企業庁) ― E類型の適用を受ける場合、E類型の投資計画の期間中は少額特例の適用を受けられない
- 中小企業等経営強化法の経営力向上設備等のうち経営規模拡大設備等(E類型)に係る経済産業大臣確認の取得に関する手引き(中小企業庁) ― 認定を受けた経営力向上計画にE類型の設備等が記載されている企業は少額特例を受けられない。給与増加割合の報告書で目標を達成できなかった場合、または税制措置を受けなかった場合は、経営力向上計画の変更申請でE類型に関する記載を全て削除し、その変更の認定を受けた後は活用できる(目標を達成した報告書を出した計画は、E類型の記載を削除する変更申請ができない)
この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の資産について税務上の判断を示すものではありません。 主装置と子機をどの単位で判定するか、どの細目の耐用年数に当たるか、少額特例を使えるか、消費税の経理方式、 償却資産税の申告範囲は、会社と設備の状況によって結論が変わります。 実際の会計処理・税務申告は、必ず顧問税理士にご確認ください。
次に見る判定表
- スマートフォン・タブレットの減価償却 ― 耐用年数表に名前が無いので、構造・用途で当てはめるタブレット・スマートフォンを減価償却するとき、最初に当たるのが耐用年数です。減価償却資産の耐用年数表(別表第一)に「スマートフォン」「タブレット」の品目名はありません。候補は電子計算機(4年・5年)と電話設備その他の通信機器(10年)で、どれに当たるかは構造と用途で当てはめます。10万・20万・40万円の金額の線、判定単位、取得価額の考え方、償却資産税の扱いまで1枚で。
- 40万円以上になったら次に見るのは耐用年数 ― 器具備品の年数表事務机は金属製なら15年、それ以外は8年。パソコンは4年でサーバー用は5年。品目名ではなく構造と用途で決まります。中古で買った場合の簡便法も。
- その修理は費用か資産か ― 修繕費と資本的支出の判定表20万円未満、おおむね3年以内の周期、区分が不明なら60万円未満か前期末取得価額の10%以下。3本の線を上から順に当てていく形にまとめました。