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Amazonの「領収書」がインボイスになる注文と、
ならない注文

国税庁の記載事項6項目とAmazonの帳票の対応、出品者の登録番号の確かめ方、ダウンロードした帳票の電子保存ルールを1枚で。

一文で言うと

販売元がAmazon.co.jpの注文と、登録番号をAmazonに提出済みの出品者の注文は、注文履歴からAmazonの登録番号「T3040001028447」が記載された適格請求書を印刷できます(媒介者交付特例)。登録番号を提出していない出品者の注文は「支払い明細書」になり、仕入税額控除には使えません。いずれもサイトからダウンロードした帳票は電子取引データなので、令和6年1月以降は改ざん防止の措置をとり、日付・金額・取引先で検索できる形でデータのまま保存します(原則。基準期間の売上高が5,000万円以下なら検索要件は不要で、猶予措置もあります)。

最終更新 2026-09-05 / 根拠:国税庁タックスアンサーNo.6625・インボイスQ&A問48・電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)・Amazon.co.jpヘルプ「インボイス(適格請求書)について」ほか

適格請求書の6項目と、Amazonの帳票のどこを見るか

国税庁タックスアンサーNo.6625は、交付を受ける適格請求書の記載事項を6項目としています。 請求書に限らず、所定の事項が記載されていれば領収書や納品書など名称を問わずインボイスになります(国税庁)。 見るべきは書類の題名ではなく、下の6項目が揃っているかです。

国税庁の記載事項(No.6625)Amazonの帳票で確認するポイント
① 書類作成者の氏名又は名称
および登録番号
販売元がAmazon.co.jpの注文と、登録番号をAmazonに提出済みの出品者の注文は、Amazonの登録番号「T3040001028447」が記載されます。出品者の注文では参照用に出品者の登録番号も印字されます。
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率対象品目である旨)
④ 税率ごとの対価の額と適用税率
⑤ 税率ごとの消費税額等
分かれ目は軽減税率の対象品目を含むかどうかです。日用品と食品・飲料を同じ注文に混ぜると④⑤が2段になるので、税率ごとに区分された行と税率ごとの消費税額が両方出ているかを見ます。混在しない注文なら10%の1段だけで足ります。
⑥ 書類の交付を受ける事業者の
氏名又は名称
ビジネスアカウントの設定内容(会社名・請求先住所)に基づいて印字されます。会社名または団体名が含まれていない場合は、適格簡易請求書として使えます(Amazonヘルプ)。
※ 適格簡易請求書を交付できるのは、「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業」です(インボイスQ&A 問58)。小売業・飲食店業・タクシー等がこれに当たります(タックスアンサー No.6625 注1)。宛名の扱いは Amazonの領収書は宛名なしでも使える に詳しくまとめています。

販売元と支払方法で分かれる ― 判定表

同じ「Amazonで買った」でも、誰が売ったかどう払ったかで出てくる帳票が変わります。 適格請求書を注文履歴から印刷できる条件は、Amazonのヘルプに2つだけ書かれています。

販売元/支払方法 注文履歴等で出る帳票 記載される登録番号 仕入税額控除の請求書等として
販売元が Amazon.co.jp 適格請求書 T3040001028447 使える
出品者
登録番号をAmazonに提出済み
適格請求書
Amazonが仲介者として交付(媒介者交付特例)
T3040001028447
参照用に出品者の登録番号も印字
使える
出品者
登録番号を未提出
支払い明細書 なし 使えない
Amazon・出品者いずれの番号でも不可。
ただし下記の経過措置の対象にはなる
不課税の商品
オンラインコード版ソフトなど
適格請求書は発行されない 対象外
課税仕入れではない
請求書払い
Amazonビジネス
請求書PDF
「請求書情報」からダウンロード
Amazonの登録番号と
販売事業者の登録番号
書式への記載はAmazon公式ブログの説明
そのまま使える
2024年12月からインボイスとして使えるようになったと公式ブログ(2024年版 3.2)が案内。
領収書は銀行振込控で代える
コンビニ・ATM・
ネットバンキング・電子マネー払い
領収書は各支払窓口の受領書。
購入明細書と適格請求書は注文履歴で確認
上の販売元の区分に従う 上の販売元の区分に従う

※ 「使える」は、Amazonのヘルプがその帳票を適格請求書として案内している、という意味です。Amazonは利用者の仕入税額控除の適格性を評価しないと明記しています。
※ 出品者・不課税の行は、Amazonビジネスのヘルプの記載に基づきます(不課税商品について「適格請求書を受け取ることはできません」としているのは、Amazonビジネスのお客様についての記述です)。
※ 登録番号がない場合でも、令和13年(2031年)9月末までは仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。割合は令和8年9月30日まで80%、令和8年10月1日から70%、令和10年10月1日から50%、令和12年10月1日から30%と段階的に下がります(インボイスQ&A 問113)。適用には、帳簿へ「80%控除対象」等の経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載と、区分記載請求書等の記載事項を満たす書類の保存が必要です。
※ 同問の注により、令和8年10月1日以後に開始する課税期間では、一の免税事業者等から行う経過措置対象の課税仕入れの合計額が税込1億円を超える部分について、この経過措置は適用できません(令和6年10月1日から令和8年9月30日までに開始する課税期間は税込10億円)。
※ Amazon公式ブログによれば、ゲーム・PCソフトやKindle商品は別法人が販売するため登録番号が異なります。

Amazonのヘルプは、2ページで書きぶりが違います。 「領収書」のページは、注文履歴に表示される印刷可能な支払い明細書を 「経費報告書に使用できる正式な適格請求書(または区分記載請求書)」と説明しています。 一方「Amazonビジネスの適格請求書の発行」のページは、登録番号をAmazonに提出していない出品者から購入した場合は Amazonの登録番号でも出品者の登録番号でも消費税の還付を受けられない、と書いています。 この食い違いは、カッコ書きで解けます。Amazonビジネスの公式ブログは、登録番号をセラーセントラルに登録していない販売事業者から購入した場合、 「支払い明細書」および「返金明細書」を区分記載請求書として交付する、と説明しています。 つまり「領収書」ページのいう「適格請求書(または区分記載請求書)」の後半に当たる書類で、インボイスではないものの、 上の経過措置が保存を求める「区分記載請求書等」としては使えます。 分かれ目は書類の題名ではなく登録番号の有無で、登録番号がなければ控除は満額ではなく経過措置の割合になります。 国税庁も、買手が仕入税額控除を受けるには原則としてインボイス発行事業者からインボイスの交付を受けて保存する必要があるとしています。

出品者の登録番号を確かめる3つの経路

Amazon.co.jpが販売元なら迷いませんが、マーケットプレイスの出品者は登録番号をAmazonに提出しているかどうかが分かれます。確かめる経路は、買う前と買った後で違います。

買う前 ― 一般アカウントでは、出品者に直接聞くしかない

Amazonのヘルプは、マーケットプレイス出品者が販売する商品について、ビジネスアカウントを除き、出品者が登録番号を持っているかを確認するには出品者に直接問い合わせる必要がある、としています。

買う前 ― ビジネスアカウントなら、検索フィルタと商品ページで分かる

Amazonビジネスのビジネスアカウントに限り、検索フィルタで適格請求書の「発行対象が含まれる商品」に絞り込めます。商品詳細ページには適格請求書の発行対象である旨の表示が出ます(Amazon公式ブログ 2024年版の表記は「適格請求書発行対象(不課税商品は除く)」)。この表示のある商品なら、注文履歴から適格請求書をダウンロードできます。管理者は購買ルールで、インボイス対象外の出品を制限するルール、対象のみに絞り込むルールを設定できます。

買った後 ― 帳票の番号を国税庁の公表サイトで引く

帳票に印字された登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで「T」を除く13桁の半角数字を入力して検索できます。Amazonビジネスの購買データの各レポート(出荷・注文履歴・返金)には登録番号を表示する列があります。

出品者の商品なのにAmazonの番号が載るのは、国税庁のインボイスQ&A問48にある媒介者交付特例によるものです。 ①委託者と受託者の双方が適格請求書発行事業者で、②委託者が受託者に登録を受けている旨を取引前までに通知していれば、 媒介・取次ぎを行う受託者が自己の氏名又は名称と登録番号を記載した適格請求書を、委託者に代わって購入者に交付できます。 タックスアンサーNo.6625も、媒介・取次ぎを行った事業者から交付を受ける請求書等を同じ6項目で適格請求書等としています。

※ 適格請求書の会社名・請求先住所、税率・登録番号の誤りはAmazonがメールで修正に対応し、PDFでの再発行はありません。出品者の登録番号の確認には最大21営業日かかります(Amazonヘルプ)。

ダウンロードした帳票は「電子取引データ」― 保存の3ルール

電子帳簿保存法では、所得税・法人税の保存義務者が、注文書・領収書等に通常記載される取引情報を電磁的方式で授受した場合(電子取引)、その取引情報をデータのまま保存しなければなりません。 国税庁の一問一答【電子取引関係】問5は、ホームページからダウンロードした請求書・領収書のPDFや画面のスクリーンショットも電子取引に当たるとし、令和3年度税制改正後は出力した書面を保存する措置が廃止されたとしています。 Amazonの注文履歴から出す領収書等は、この類型です。

令和5年12月31日までの宥恕措置は廃止され、令和6年1月からは保存要件に従ったデータ保存が必要です。国税庁のパンフレットは「電子取引データが原本」で、プリントアウト後にデータを消すことはできないとしています。原則のルールは3つです。

ルール満たし方(国税庁パンフレット 令和6年11月)
① 改ざん防止の措置 次のいずれか。タイムスタンプ付きのデータを受領する/受領後にタイムスタンプを付す/訂正・削除の履歴が残るシステムで授受・保存する/改ざん防止のための事務処理規程を策定・運用・備付けする(規程のサンプルは国税庁HPに掲載)
② ディスプレイ・プリンタ等の備付け 保存データを確認できる機器を備え付ける
③ 「日付・金額・取引先」で検索できる 3要素での検索は、表計算ソフト等で索引簿を作る方法、または日付・金額・取引先の順に規則性をもったファイル名にして特定のフォルダに集約する方法でよい。
加えて、①日付又は金額での範囲指定検索・2つの要素を組み合わせた検索ができること、②税務調査等の際に電子取引データのダウンロードの求めに応じることができること、のいずれかが必要。②を選べば、索引簿・ファイル名の運用のままで足りる。
基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下の事業者等は、税務調査時にデータのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、この検索要件は不要
猶予措置 原則ルールに従えないことに所轄税務署長が相当の理由があると認め、かつ税務調査時にデータのダウンロードと出力書面の提示・提出に応じられる場合は、データを保存しておくだけでよい。事前届出は不要で、「人手不足」「システム整備の資金不足」なども相当の理由に含まれる

クレジットカードで払った場合は、カードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に当たり、その明細に含まれる個々の注文の領収書・適格請求書データを電子的に受け取っていれば、それも別途保存が必要です(一問一答 問5)。カード明細だけ残して注文ごとの帳票を落とさない運用は、ここで引っかかります。

適格請求書等の保存期間は、受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です(No.6625)。 なお電子取引データ自体の保存期間は各税法によります。法人の場合は原則7年ですが、青色欠損金が生じた事業年度は10年(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年)です(一問一答 問17)。 Amazonビジネスの適格請求書は発行日(発送日)から10年間Amazonに保管されますが、それはAmazon側の保管で、事業者側の保存義務とは別です。

一問一答 問36は、発行者のウェブサイトで領収書等をダウンロードする場合の保存方法として、①ウェブサイトに領収書等を保存する方法と②ウェブサイトからダウンロードしてサーバ等に保存する方法のどちらも挙げています。サイト上に置いたままにする方法も、方法としては認められています。 ただし同問は「これらのデータを保存するサーバ等は可視性および真実性の要件を満たす必要がある」としています。Amazon側のサイトが自社の検索要件・改ざん防止要件を満たすかを買手側で証明・制御することはできないため、自社の保存先へダウンロードして残す運用のほうが確実です。

ここで間違える

「領収書」のリンクから出した紙を、名前だけでインボイス扱いにしない

国税庁は名称を問わないと言っています。裏返すと、「適格請求書」という題名でも登録番号がなければインボイスではありません。 Amazonの注文履歴には「領収書/購入明細書」と「明細書/適格請求書」の2つのリンクがあり、適格請求書として印刷できるのは、 販売元がAmazon.co.jpか、出品者が登録番号をAmazonに登録している注文だけです。 それ以外の出品者の注文に出る「支払い明細書」は、Amazonの登録番号でも出品者の登録番号でも仕入税額控除には使えないと、Amazonのヘルプが明記しています。

宛名がない領収書の扱い(不備ではなく簡易インボイスに当たる場合があること)、会社名の直し方と再発行の手順は、Amazonの領収書は宛名なしでも使える にまとめています。

印刷してファイルに綴じるだけでは、保存したことにならない

ダウンロードしたPDFもスクリーンショットも電子取引データで、出力した書面の保存では代替できません。 紙で綴じてデータを消せば、原本を捨てたことになります。 ただし消費税の仕入税額控除に限っては、電子インボイスを整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面を保存していれば、控除の適用を受けられます(一問一答 問5 ト)。 書面で代替できないのは所得税・法人税側の保存義務のほうで、データを消してよいことにはなりません。 加えてAmazonの領収書等は商品の発送後に注文履歴へ表示され、発送前は閲覧・印刷できず、アプリでは印刷できません。 領収書は何度でも再発行でき、Amazonビジネスでは2回目以降は発行日が更新されて「再発行」と表示されます。 PCサイトからまとめて落とし、日付・金額・取引先の順のファイル名で1つのフォルダに入れる手順にしておくと、③の検索要件が片づきます。 ①の改ざん防止は別で、国税庁HPのサンプルをもとに事務処理規程を策定・運用・備付けする方法が、システムを入れずに済む選択肢です。②はデータを確認できるディスプレイ・プリンタ等があれば足ります。

出品者ごとの登録番号を、買う前に絞り込みたい場合

一般アカウントでは、出品者が登録番号を持っているかを買う前に確かめるには直接問い合わせるしかありません。 Amazonビジネス(登録無料)にすると、検索フィルタで「発行対象が含まれる商品」に絞り込め、 購買ルールでインボイス対象外の出品を制限でき、購買データのレポートに登録番号の列が出ます。 適格請求書は発行日から10年間Amazonに保管され、請求書払いの請求書はそのまま適格請求書として使えます。 請求書払いそのものの条件は Amazonビジネスの請求書払いの判定表 を参照してください。

※ 請求書払いには別途審査があります。帳票が仕入税額控除の要件を満たすかは、Amazonは評価しないと明記しているため、経理処理の前に自社の要件で確認してください。

Amazonビジネスの登録ページを見る(広告)

出典

この記事の位置づけ:一般的な制度の解説です。個別の会社・個別の取引について税務上の判断を示すものではありません。 仕入税額控除の適用可否、簡易課税や2割特例の選択、経過措置の適用、電子取引データの保存方法として何を選ぶかは、 会社の状況によって結論が変わります。Amazon自身も利用者の仕入税額控除の適格性は評価しないと明記しています。 実際の処理は顧問税理士にご確認ください。